暁 〜小説投稿サイト〜
銀色ランプの精は魔法が使えないっ!?
〜プロローグ〜嵐の前兆に誰も気づかない・・・。後編
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たずに走り出す。ときは既に三分切った。
「お、おいっ!勝手なことすんじゃねぇぞ!」
背後から親父の怒声が聞こえた気がするが気にしている余裕もない。
おそらく怪盗が狙ってんのはあの宝石だろう。既に仕掛けは済んでいるはず。作動させる前にこっちから動かねぇと。
そして例の区画に入ると俺はあたりを見渡す。ちょうどその時だった。
そこかしこで何かが爆発する音がけたたましく響く。
「ちっ!遅かったか」
おそらく仕掛けを作動させたのだろう。所々で客たちが慌てふためいて走り回る音が聞こえてくる。
だが、俺の目の前には“それ”はまだある。こうなれば仕方ない。
俺は手短にあったポールを手に取ると、ダイアモンドのショウケースに振り下ろしてケースを破壊する。
ポケットからハンカチを取り出しダイアモンドを拾うとそのままポケットへ忍ばせ、それから再びあたり見渡す。
「兄様?何を?」
さすがの結月も俺の行動を不審に思ったのだろう。
「大丈夫だ。問題ない。やつの狙いはこのクロスダイアモンドだよ。そうだろ?世間を賑わす大怪盗――メインさんよ」
そして俺はそこにいるであろう人物に呼びかける。
「あらやだ。どうしてわかったのかしら。坊や?少なくとも警察の人たちにはわかってなかったというのに」
そこにはだいぶ露出の多い派手な服を身につけた女性が立っていた。
「あんなの考えればすぐにわかることだ。少なくとも俺は、な」
「ふぅん。意外とできるのね坊や。あの予告状でどうやってこのクロスダイアモンドが狙いだとわかったのかしら?」
その表情は確認することができない。仮面のようなもので顔全体を覆っている。が、声の抑揚からして楽しんでいるようにも思えた。
「光り輝きたる青白き心の蜘蛛の巣。確かに言い得て妙だな。だが、面白い表現なのは確かだ」
「あら、それはそのままじゃない。まさかそれだけでこのダイアモンドだとわかったの?」
時折小さく笑う声がする。少なくとも切羽詰っている様子はない。
「ああ。蜘蛛の巣もクロスダイアモンドも見方によっては似たようなもんだしな。加えて光り輝きたるときてる。青白く光る蜘蛛の巣。そして宝石。
この建物の中で青白く光る雲の巣のような交わる宝石といえば、クロスダイアモンド以外ない」
「大した観察力ね。いつわかったの?」
「さっきだ」
「え?」
俺のその一言にさすがの怪盗メインも驚きを隠せないようだった。
「さっきってついさっき?」
仮面からはその表情を推し量ることはできないが先程までの余裕綽々という雰囲気がわずかになくなっていたように思える。
「さっきだよ。というか、あんたからの予告状を見たのだって予告時間五分前だしな」
「よくもそんな嘘を言えたものね。私が送ったのは昨日よ?見る機会なんて・・・・・・」
そこでメインは口を閉
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