暁 〜小説投稿サイト〜
銀色ランプの精は魔法が使えないっ!?
〜プロローグ〜嵐の前兆に誰も気づかない・・・。後編
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するにはやはり彼しかできないと思ったもので」
ほぼ直角に頭を下げる警官。
「こいつはまだ学生だぞ?確かに以前の事件に巻き込まれたのは仕方ない。だが故意に巻き込ませるのとでは別問題だ」
まったくもって正論だ。
それから、その警官は散々親父に説教された。その間、とてもとても退屈だった俺はその場に立ち尽くしながらもざっとあたりを見渡す。
館内自体に変化はない。展示物にはショーケースに収まっておりとてもじゃないが盗み出せるようには見えない。
絵画系はすべて壁に立てかけるように飾ってあり、その中央にいくつかの彫刻や宝石が等間隔に置かれている。
先ほど警官が言っていたが、普通に美術展は解放されているため一般の客も数多くいる。しかし、怪盗云々もあってかやけに多い。
その展示物を見る、というよりその怪盗見たさに来ている、という方が正しい。というのも展示物ではなくあたりをキョロキョロと見渡している客が多いのだ。傍から見れば挙動不審だ。
「ん?」
そこで俺は不思議な、もとい不審な人間を見かけた。
しきりに天井や床に視線を送り、時には展示物、特に宝石系の展示物を注意深く見る女性。
その姿は帽子を深くかぶっているせいか顔までは確認できないが背丈から察するにそこそこの高身長なのだろう。ハイヒールも履いている。
その女性はそのまま区分けされた部屋ヘと進んで行ってしまった。
俺はその女性の後を目で追うことしばし。
「なぁ、親父」
すぐそばで何かを考えていた親父に声をかける」
「なんだ」
ぶっきらぼうな、それでいて少々だるそうに親父がこちらへと振り向く。
「あの先には何が展示されてんだ?」
“あの先”というのは追先ほどあちこちに視線を送っていた女性が向かっていた区画のことだ。
「あー、そっちはちょっと珍しい宝石が展示されてある」
「ちょっと珍しい宝石?」
「そうだ。聞いたことくらいはあるだろ?『クロスダイアモンド』ってやつを」
クロスダイアモンド――それはどこぞの発掘現場でごくまれに出てくる天然ダイアモンドと言われている。が、単なるダイアモンドならそこそこの価値にしかならない。その上、単なる天然ダイアモンド程度ならばおそらく展示までは行かないだろう。
だが、このダイアモンドはどうやらプリズムと同じように光の分散。屈折、全反射が起こるという。それもプリズムの何倍の量。それが人々の目にクロス(交差)して見えることから“クロスダイアモンド”と呼ばれている。
「で?そのクロスダイアモンドがこんなところにあるのは?」
「別に珍しいものでもないと思うが?なんでもこの展示会を開催した人間、つまり主催者が自慢がてらに展示してみんなにクロスダイアモンドの美しさを知ってもらいたいんだそうだ。だからこそ、こうやってわざわざ区画を別にして警備もつけて展示してる
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