第五十一話 思春期D
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「えっ、悩んでいる? あのレティ先輩が?」
『うん、そうらしいわ。アルヴィンに言われて、私も先輩に魔法合戦について相談をしたの。そうしたら、先輩のご友人……えっと、レティ先輩の方ね。その方が悩んでいるみたいだって教えてくれたわ』
アリシアとティオールの2人と別れ、転移を使い、俺は家に帰宅した。その後すぐに、端末でメリニスと連絡をとり、図書室の先輩さんに色々聞いておいてもらったのだ。返事を待っている間、俺は制服をハンガーにかけ、母さんに頼まれていた洗濯物を取り込んでおく。ちょうど準備万端になったところで、メリニスから連絡が来た。
しかし、悩み? あの我が道を突き進みまくっているレティ先輩が? 俺がレティ先輩に用事があると聞いた図書室の先輩さんが、メリニスに伝言を頼んだらしい。
『先輩が言うには、よかったら話を聞いてあげてほしいんだって。仲のいい後輩なら、話してくれるかもしれないから』
「あー、まぁ仲はいいかもしれんが。確かに近すぎる友人より、適度な距離の知人の方が、いい場合はあるか」
『そんな感じだって。……あと、先輩が目に涙を浮かべながら「レティをお願い」って』
「えっ、ちょっ、そんなに深刻な感じなの。しかも、俺に丸投げな感じですか」
そんな会話が続いたが、渋っていても仕方がないので了承の返事をしておいた。本当にレティ先輩が悩んでいるのなら、後輩として力を貸してあげたい。少なくとも、話を聞いてあげるだけならできるだろう。溜まっているものを吐き出すだけでも、だいぶ違うと思う。
図書室の先輩さんの方から、仕事が終わったレティ先輩にちきゅうやへ行くように声をかけてくれるそうだ。それなら俺は、ちきゅうやに行って時間を潰しておいたらいいかな。俺はメリニスにお礼を告げ、お互いに頑張ろうと声を掛け合った。あっちも先輩と一緒に魔法の特訓をするらしい。
メリニスとは無限書庫で探索をよくしていたから、お互いの魔法については詳しい方だ。彼女は典型的なプロフェッサータイプである。援護や索敵が主だが、扱える魔法の範囲が広いことが特徴だ。無限書庫では、彼女の力で助かったこともしばしば。俺も豊富な魔力量を生かし、メリニスに魔力を供給することで、より探索範囲を広められたものだ。
「さてと、それじゃあ行きますか」
通信を終え、俺は端末をポケットの中にしまう。それから忘れ物がないかを確かめ、玄関へと歩を進め、いそいそと靴を履いた。転移を使う時に忘れがちなのが、この靴を履くことである。俺の家は、日本と同じで靴を脱いでから入るタイプだ。ミッドチルダでは、靴を脱がずに入る家もあれば、脱がないといけない家だってある。文化がごっちゃまぜだが、それについてはもう慣れた。
昔はよく、裸足で転移をしてしまうことがあったもの
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