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少女1人>リリカルマジカル
第五十一話 思春期D
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く。ビシッと言ってのける彼女の姿をアルヴィンが見ていたら、「さすがは本家お孫さん。……副官さんじゃ勝てねぇな、これ」とボソッと言っていただろう。

「私もいつも危ないことをして、叱っている方がいるもの。だから、ちゃんと言ってあげないと、拗ねられちゃいますよ」
「……ふふ、そうね。私はあの子の母親ですもの。拗ねさせちゃ駄目よね」
「えぇ、私も彼をちゃんと見てあげないといけないわ」

 もしアルヴィンがここにいたら、彼女らの会話を録音しながら、地上部隊の方面を見つめて、同情していたことだろう。

 イーリスとの会話を終えると、プレシアは小さくうなずく。もうそろそろアリシアも目覚める頃だろう。プレシアを見たアリシアが、何を言うのかはわからない。それでも、家族として向き合おう。少し前にアルヴィンにも連絡をしたので、転移を使えばそろそろ駆けつけてくるはずだ。

 ドアノブを握る手に、力が籠る。意を決し、プレシアは病室のドアを開け放った。


「お兄ちゃんのバカァァッーーー!!」
「ちょッ、アリシアさん! 事故ったって言うから、慌てて転移しちゃったんだよッ! まさか布団の下が、上半身マッパだとは思っていなかったんだァ!!」
「うっちゃァァーーいッ!!」
「ヘブゥッ!?」

「…………」
「…………」

 とりあえずプレシアは、枕に撃沈する息子に女性の病室に入る時の配慮について、しっかり叱ろうと思った。



******



 お風呂に一緒に入らなくなって2年で、マッパにここまで怒られることになるとは…、ともう1発アリシアから枕投げを食らった方がいいかもしれないことを考えながら、アルヴィンは事の顛末を聞いていた。

 聞いてまず思ったのは、罪悪感だった。プレシアと同じように、アルヴィンもまたアリシアに黙っていた内の1人だ。しかもアルヴィンは、アリシアに最も近い場所にいた。学校での様子が少しおかしいと分かった時点で、介入するべきだったのだ。

「あのね、アリシア。魔法の勉強をずっと頑張っていたあなたに、これを伝えることがどれだけ酷なのかはわかっているわ。でも、よく聞いてちょうだい」

 出だしを挫かれたプレシアだが、そこは即復活。アルヴィンがやらかした空気を、一気に自分のものにしてみせた。大魔導師としての貫録を、プレシアは全力で発揮。彼女の苦労が、少し垣間見えた。

 腕の怪我の治療のために、服を着崩していたアリシア。家族だけになった病室。ベッドに座り、上着を着込んだ彼女は、包帯が巻かれた自身を見ながら、母の言葉に唇を噛み締めた。

「お母さん…」
「……あなたが、魔導師として生きることは難しいわ。リンカーコアから魔力を抽出し、魔法へと変える機能……魔力変換効率が、普通の人と比べて高くないの
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