第五十一話 思春期D
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だ。そして大抵、事情を把握した相手に呆れられた。楽しようとするからだ、アホと。ちきゅうやへ遊びに行くときに、よくやらかしていたので忘れるわけにはいかない。今日だってきっと、店番をしているだろうしな。
「というわけで、俺だって学習するときはするんだぞー」
「初っ端から何言ってんだ、お前」
目の前に人が突然現れても、眉ひとつ動かさなくなった友人に挨拶をする。少し長くなった赤茶色の髪を後ろで一つ括りにして、流れている汗をタオルで拭う少女。どうやら荷物運びの途中だったらしい。朱色の魔力を纏っているところから、自身にブーストの魔法をかけているのだろう。
友人―――エイカは一息吐くと、纏っていた魔力を霧散させた。凝った肩と首を回し、どうやら休憩に入るようだ。お疲れなのはわかるが、もう少し女の子らしくしようよ。完全に仕事疲れのおっさんのような動きだぞ。
「いいところに来た。てめぇも手を貸せ」
「うわぁ、いきなり。エイカも容赦がないよな…」
「なんでお前に遠慮しないといけない」
「疑問の欠片もなく言われると、さすがに俺だって傷つくんだが」
まぁ俺も、ここの従業員だから手伝うけどさ。俺は頭を掻きながら、同時に肩を竦める。時間はあることだし、一緒に搬入の手伝いをすることに支障はない。新しく入った商品のリストと運び場所を教えてもらい、俺も先ほどのエイカと同じように藍色の魔力を纏った。
このブースト魔法は、2人で一緒にメガーヌから教わった魔法である。エイカは昔から魔法に強い関心を持っており、魔力があると判明してからは、より一層修練を積んでいた。だけど学校に通っていないエイカが、魔法を覚えるのは難しい。なので俺たちから教わったり、ちきゅうやに来るお客さんに頼んだりすることが多かった。
メガーヌはよくエイカをからかっているが、あれで結構面倒見はいいやつである。一番エイカに魔法関係を教えているのは、たぶん彼女だろう。ちきゅうやで講義をしているメガーヌを時々見たし、それに俺も便乗したことがある。俺の使う補助魔法の大半は、メガーヌのおかげだな。
「うーん、こっち系の魔法はコントロールがやっぱり難しいな。つい魔力を垂れ流してしまう」
「お前、完全に放出系だからな。内に魔力を留めるのが下手だよな」
「泣くぞ、こら。エイカは収束系が上手いよなー、羨ましい」
「……ふん。俺は近接型のベルカ式の方が、適性が高い。遠距離型でミッド式のお前には、放出型の方が役割があるだろうよ」
ブーストアップをお互いに使い、入口から店内へ荷物を持って往復していく。単純作業なため、何気ない会話の応酬を繰り返した。俺の言葉に、エイカはふてぶてしく返答する。こんな風に魔法の話をすることは、今では当たり前のようになっていた。
「しかしお前って、
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