暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外9話『火拳で危険』
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を持っているからだ。

 二人が海軍を相手にしないのは、メリットがないから、それ以上でもそれ以下でもなく、ただそれだけ。
 そんなわけでどこか呑気に逃げる二人だったが、追ってはこないと判断したのか、足を止めることはないものの若干の警戒を緩めたエースが言葉を発した。

「にしてもお前がルフィといるなんてな」
「……それをいうならお前とルフィが知り合いだったなんてって感じだけどな」

 ハントとしては当然のように呟いた言葉だったのだが、それにエースが「は!?」と反応した。

「お前、俺に弟がいるって言ったの覚えてなかったのか!?」

 唾を飛ばしまくりながらのエースの言葉に、ハントは甚平で自分の顔をぬぐいながら迷惑そうに言う。

「覚えてるに決まってるだろ……東の海出身でエースの弟での名前が『ルフィ』だろ? 麦わら帽子を気に入ってるっていう……忘れるわけな――」

 そこで、言葉が止まった。
 ハントはなにかを考えるように黙り込み、その間エースはこいつマジか、というような目でハントのことを見つめている。

「……」

 それから数秒。ハントの内心の思考がかみ合ったのだろう、遂に気づいた。

「――あれ……ルフィ? ……ルフィ!! え、お前らもしかして兄弟かっ!?」
「おせぇよ! なんで全部覚えてんのにお前の中で別人扱いだったんだよ! 逆エスパーか!」
「……え、エスパ――」
「いや褒めてねぇよ!」

 鋭いエースの言葉にハントはまた数秒ほど考えるように間をおき「なんか、ごめん」とバツが悪そうな表情で返した。
 ルフィがエースの弟と気付けなかったことで申し訳なさそうにするハントに、エースは呆れたように笑みを浮かべる。
 そもそもエースは弟の話を忘れられていても気にしなかっただろうし、今回もハントが気付いていなかったことに関してなにか謝られるような感情を微塵も抱いてはいない。そもそも謝られるようなことではないことに頭を下げる相変わらずのハントへと、エースは生き生きとした表情で「けど、でもよ?」と言う。
「……?」

 首をかしげた彼に、エースは実に嬉しそうに。

「それならそれで……こうやって巡り会うのはすげぇことだよな」

 ハントとエースが出会ったのは2年前。
 エースは白ヒゲを倒そうと、ハントはエースを倒そうと。決闘を通じて友となった二人。
 それぞれがそれぞれのやるべきことのためにグランドラインの海を逆走し、ハントはエースの弟と偶然に出会い、エースの弟をエースの弟として認識せずに仲間になった。
 そして、こうして二人は友として偶然にここで出会った。 
 この広い海で、偶然に。

「……たしかに、そうだな」

 ――なるほど、兄弟。

 逆転の発想というか、なかなか浮
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