二回戦開始
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決戦場から出てきて、再び校舎の景色を見ると、ようやく勝利の実感が沸いてくる。それでも、慎二の事が気になってならない。
目の前にいながら、助けることが出来なかった。勝ち続ける限りずっと今の光景を見なければいけないということか。絶対に、何度やっても馴れそうにない。一体どれだけ呆然と立ち尽くしていたのだろう。
「一回戦、終わったみたいね」
「遠坂か」
いつの間にかやってきた遠坂が、声をかけてきた。遠坂も勝ち残ったのか。内心ホッと安心した自分がいる。
「負けて死んだのはアイツの方ね。アジア屈指のゲームチャンプも形無しか。まあ、命のやり取りなんて話、あの馬鹿には未体験だっただろうけど」
まるで今日学校であった出来事を、誰かと話し合うかのように人の死を語る遠坂。確かに慎二はゲーム気分でこの戦いに参加して、その気分のまま敗北し、最後まで死を否定していた。
「……で、どうだった?遊び気分でこの聖杯戦争に参加した魔術師の末路ってヤツ?どう、みっともない死に様だった?」
「っ、そんな言い方……!」
「あのね、ここは戦場なのよ。敗者に肩入れしてどうするの。それでアイツが生き返るワケじゃないんだから」
何も言い返せない。その通りだった。この戦いは、ただ単純に負けたものはただ死ぬ。
「っていうか、何でマスターのあんたが血だらけなのよ?」
「えっ?あっ………」
肩が撃たれたのをすっかり忘れていた。肩に穴が空いている上激しく動き回ったせいか、服の至る所に血が染み渡っている。服をまくり傷の様子を見てみるが
(もう塞がっている…………)
傷口はもう完全にふさがっていた。傷の治りが速いところをみると遠坂も不思議がってた謎の治癒力はこの世界でも健在のようだ。しかし、治りが早くても痛いことには代わり用がない。
「結構な量よ?大丈夫?」
「大丈夫たいしたことじゃないさ。それより遠坂は怪我とかしてないよな?大丈夫か?」
「何でこっちが心配されてんのよ………………まあいいわ。早く私と会うまでに相応しく、もっと強くなりなさい。サーヴァントと共にね」
「嬢ちゃんも素直じゃねぇな。素直に怪我しないでねっていえばいいのによ」
ランサーが実体化してケラケラと笑ってからかうように言うとかぁ〜と遠坂の顔が赤くなる。
「いきなり、実体化してなに言ってるのよ!?別に深い意味はないわよ!」
「わかったわかった」
怒鳴る遠坂をまるで闘牛士のようにのらりくらりとかわすランサー。俺だったら確実に殴られてるのに……………。
「まあ、坊主の場合は、よほどのことがない限り死なねえだろうな。俺の槍でも死ななかったし………」
「ん?ちょっと待って。それってどういうこと?」
「あっ、やべえ」
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