壊滅のアマリリス
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アに無理言って大空でも出来る攻撃魔法を教わって、狙撃の腕だって磨いたのに・・・僕が倒そうって思ってたのは、アルカのお父さんだったなんて・・・」
黒い瞳から、涙が零れる。
ポロポロと落ちて、ギルドの床を濡らす。
「大切な人達が死んだ時、言葉じゃ表せないくらい辛い思いをするって、僕は知ってるはずなのに・・・アルカに同じ思いをさせようとしてたんだ!だけどアイツ等を許せない・・・許したくないっ!もう・・・訳解んないよ。どうしたらいいんだよおおおおおおおッ!」
沸き上がる憎しみ、悲しみ、怒り、辛さ。
仇を討ちたいと思う気持ちと、アルカに辛い思いをしてほしくないという気持ちがルーの中で生まれ、真正面からぶつかり合って、矛盾を生む。
どうしようもない感情の爆発を叩きつけるように、ルーはテーブルを握った拳で強く叩いた。
反動で酒の入ったジョッキが跳ね、中身が零れる。
「・・・ルー」
「!」
テーブルに突っ伏して肩を震わせるルーに、マカロフが声を掛ける。
ピクリと小さく反応したルーは素早く顔を上げた。
頬は涙で濡れ、止めどなく涙が溢れている。
「お前は故郷の皆の仇をとりたいんじゃな?」
「・・・うん、みんなは僕にとって大切な人達なんだ」
「お前はアルカを悲しませたくないんじゃな?」
「うん・・・アルカは僕のお兄ちゃんみたいな存在だから」
だから、矛盾が生まれる。
大切な人の為に動けば、大切な人が悲しむ。
故郷の人達を取るか、アルカを取るか・・・究極の選択だった。
だが―――――
「ルー、よく聞け」
マカロフは、そのどちらも選ばせない。
「仇をとる事の全てが、人を傷つける事ではない」
よく通る声。
真っ直ぐにルーを見つめて、マカロフは何の迷いもなく言い放った。
「ルー、お前の魔法は何の為にある?」
「何のって・・・防御とか、回復とか、補助とか・・・」
思い出すように目線を上げ、左手の指を3本立てる。
その答えに満足したように、マカロフは深く頷いた。
「だったらお前にしか出来ない仇の取り方があるはずじゃ」
「僕にしか・・・出来ない?」
「故郷の皆もアルカも救える方法がきっとある。ルー、お前にはそれを見つける力がある」
そう言って、マカロフは真っ直ぐルーを見つめた。
ルーも真っ直ぐにマカロフを見つめる。
そして―――――その顔に、いつもの子犬と評される愛らしい笑みが戻ってきた。
「そっか・・・!そうだよねっ!ありがと〜おじーちゃん!」
ぱぁっと花が咲いたように笑う。
だが、すぐにその表情が沈んだような表情へと変わった。
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