第一章
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てそこで殆ど徹夜でラーメンの研究をするのだった。こうしたことがしょっちゅうである。そしてそれは店のラーメンにも実際に出ていた。
「おっ、何かラーメンがまた」
「美味くなっとったい」
部活帰りの高校生達が二人の屋台のラーメンを食べて笑顔で言った。二人は博多の街で夕方から屋台を出している。左手には川がありそこを背にしている。そこで木の粗末なテーブルも出して客を受けているのである。高校生達は詰襟の制服のまま屋台の席で並んでラーメンを食べているのだ。
「スープのコクもよかし」
「麺の味も」
「勉強したとよ」
こう答えたのは麗だった。皆からはおかみさんと呼ばれている。白い頭の三角巾に割烹着が実によく似合っている。雄大m白い料理人の服である。
「またね」
「そいでこんなに美味くなったとね」
「いや、おかみさんやるとね」
「勉強したのはおいどんもね」
ここで雄大が鹿児島弁も混ざった言葉で言うのだった。
「おいどんもちゃんと勉強したとよ」
「ああ、それはわかっとおと」
「旦那さんもいるのはね」
「わかってたらいいとよ」
雄大は彼等の言葉に腕を組んで納得するのだった。
「そんでもそんだけ味ばよくなっとおとか」
「ああ、すんごく」
「やっぱり九州のラーメンになっとるとよ」
「九州のラーメンは豚骨ばい」
高校生達は口々に言うのだった、
「最近それもば忘れちょる店もあっし」
「こうして白いスープに細い麺ばちゃんと出してくれっのもいいばい」
「東京のラーメンは邪道じゃ」
「そうたい」
雄大と麗はそれはすぐに言うのだった。
「だから小久保もすぐに戻ってきたっとたい」
「福岡にな」
「あら巨人がアホたい」
「あいつ等が強奪したとね」
高校生達は小久保と聞いてすぐにこう返した。
「そんでこっちが取り返したとね」
「今度日本シリーズで会ったらギッタンギッタンじゃ」
「腕の五本や十本は覚悟させたるわ」
ソフトバンクファンも巨人には恨みがあるのであった。巨人こそはまさに全ての野球ファンの、野球を愛する日本国民の共通の怨敵である。
「まあそんで東京のラーメンは」
「巨人のまずい味がするたい」
東京風のラーメンをあくまでけなすのだった。
「あんなんよりやっぱりこの豚骨ラーメン」
「これたい」
「じゃがその九州ラーメンも味は色々ばい」
「そうだい」
今度はその九州ラーメン自体についての話になった。
「美味かものもあればまずかものもある」
「ここはまた美味かなっとるけどもな」
「勉強した結果じゃ」
「その通りばい」
また言う雄大と麗だった。
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