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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
十八話 Lost memory
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ね?』
心の中で、小さく謝罪する。
この選択が、ヴィヴィオに負担を掛ける事は、なのはも分かっている。出来るなら、娘にこんな風に負担を強いるのは、母親としてなのはも望んでいる訳ではない。しかし、やはりどうしても……ヴィヴィオに、クラナとの事を諦めるのだけは避けて欲しかった。
ようやく、希望が持てたのだ。……この四年間、殆ど進歩する事が出来なかった高町家の現状に、ここ最近になってようやく光明が差し始め、やっとの事で今日、なのははクラナとの関係に心の中で小さな光明を見た。出口(ひかり)の見えない暗闇の中を、あるかも分からない其れを求めてただ進むのではない。ぼやけていても、不確かでいても、ほんの小さな確信を持って目指せる希望が、ようやくなのはの歩く心の暗闇の中に見えた。
ただ皮肉なのは、なのはがそれを掴んだのと同時に、今まで根拠もなく。しかしだからこそ確かな強さを持って目指せていた出口を、ヴィヴィオの方が見失ってしまったと言う事。
その強さに、この四年間の間なのはは支えられてきた。だから……今度は、自分が手を引いてやらなくてはならない。ヴィヴィオが、出口を探す事を諦めてしまわないように。暗闇の中に居続ける事を、認めてしまわないように。何故なら自分(なのは)は、彼女(ヴィヴィオ)の母親なのだから。

────

同じ頃。クラナは一人で、野外の修練場に来ていた。

[相棒、拳が……!]
「────ッ!!!」
誰にも聞こえない雄叫びをあげた少年の拳が、野外に設置された丸太にマットを巻いて作られた的に対して凄まじいスピードで撃ちこまれる。
連続で撃ちこまれた拳は、衝撃を受けた丸太が魔力で強化されているにも関わらず、魔力を一切使わない素手の拳で丸太の形を変形させ始める。曲がって行く丸太は今にも折れそうで、実際クラナが連続の拳が50を数えてから少し立った時点で拳を止めて居なければ丸太は間違いなく折れていただろう。

「ッ……はぁ……はぁ……」
[相棒……]
荒い息を吐くクラナの拳は、血が滲み薄赤く染まって居た。滴となった朱い結晶がポタポタと落下し、地面を少しだけ濡らす。俯きながら其れを一瞬だけ見て、クラナはもう一度その拳を丸太に向けて叩きつける為、右手を振りかぶり……

「やめとけ」
「っ……!」
しかし後方から何ものかが腕を掴んだ事によって、その腕は突き出されるより前に止められた。

「ライノ……」
「よっ」
反射的に振りむき、真っ赤になった視界の先に見慣れた親友の姿を見止めた途端、赤熱した視界が元の夜の闇色を取り戻す。

「ったく、せめて強化くらい使えよな。巻いてあるマット、意味ねーじゃん?」
「……ごめん……」
腕を組んで呆れたように言うライノに、クラナは俯きながら言う。そんな様子に、ライノは苦笑しながら要求する
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