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母の怪我
第一章
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「来月になったらね」
「今しなさい、今」
「後でするから」
 こんなふうだった。とにかく家事をしない美佳だった。こうしたいい加減な日々を送っていたがある日のこと。急にその母が事故に遭ってしまった。交通事故だった。
「えっ、骨折したの?」
「参ったわ」
 病院の病室である。白いベッドの中に母がいた。病院の患者の服を着て左足を厚いギプスで覆って吊り上げている。何処を怪我したのかは明白だった。
「とりあえず命は何ともなかったけれど」
「またどうして怪我なんか」
「横断歩道歩いてたらバイクが突っ込んできたのよ」
 よくある話である。

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