従うモノ達の願いは
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白蓮に聞いた敵の実力から判断するに、相手が二万までなら徐晃隊でギリギリ抜けられる。現在の兵数は二千と数百……最終的に五十くらい残ればいい方だろう。
もし、明が先行部隊に含まれていてぶつかってしまえば、俺が抜けられる可能性も非常に低くなる。上手くいなせるかどうかに掛かってくるか。
森や山に隠れる事は出来ない。何時、どれだけの敵に囲まれるか分からなくなったのだから。救出も来るかわからない状態では戦って抜ける方が得策だ。
降る事は大徳の名から不可能で、さらには郭図という男が白蓮からの情報通りならばどんな輩だろうと殺されてもおかしくない。
いつ外道な手段を使ってくるか分からないのも不安が残る。それならやはり……
「……御大将」
「分かってるよ。お前らだって幽州を蹂躙したあの軍に従うのは嫌だろう? 俺だって降るなんざごめんだし、何処かで救出を待つ事も出来んさ」
覚悟を決めた男の瞳で見やる副長を見返してから振り向くと……驚く事に徐晃隊の奴等は笑っていた。一人残らず、不敵に、悪戯好きな子供っぽい笑顔で。
――ああ、やっぱりこいつらはバカなんだな。
眉を顰めながら見ていると、徐晃隊一番隊の一人が俺に声を上げた。
「御大将、俺らは羨ましかったんでさぁ。公孫賛様の部隊の奴等から幽州の話を聞きましてね。俺らが使うはずだった策を関靖様の部隊が使ったらしいじゃないっすか」
「そしてそいつらはやり通した。なら俺達に出来ねぇわけがないでしょうよ。あいつらは三倍程度だったらしいが、俺たちゃ十倍だろうと、二十倍だろうとやり通して見せやすぜ」
「そのために地獄のような訓練で体力つけてきたんすよ。御大将がぶち抜く、俺達が守り抜く、いつも通りじゃないっすか」
「なぁに、何時だって俺らはあんたの心に居る。だから命じてくれ。いつも通り、あんたの命令で死なせてくれよ」
口々に発する声は心底から楽しそうだった。
こいつらの願いは俺と雛里に生きて欲しいという事。本隊と合流さえすれば、隠した徐晃隊の奴等で仕返しが出来るから。そして俺と雛里がいれば、先の世まで想いを繋いでくれると信じているから。
すっと、隣に馬を並べた副長が雛里を抱え上げて俺に渡した。受けとり、何を考えているのかと無言で問いかけた。
「御大将、俺達はあんたの幸せを願ってる。あんたが幸せに生きて、平穏な世界を作り出してくれる事を願ってる。だから幸せに生きていけるって証拠をここで見せてくれ」
「はあ? どういう事だ?」
全く意味が分からずに問い返すと、後ろに続く徐晃隊のバカ共の目がにやにやと茶化す時のモノに変わっていく。雛里は不思議そうにバカ共を見回していた。
副長も同じように茶化す時のにやけ面に変わって笑いかけた。
「いやぁ、俺達の目にしっかり焼
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