従うモノ達の願いは
[3/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
された事柄からであった。
まだ遠くだが分岐する二つの道。片や狭く区切られた崖の道に進む軍がいたこと、片や緩やかな丘中の道には幾多の旗が向かったとのこと。先程付近の村に徐晃隊の一人を向かわせ聞き込みを行い、村人からの情報が手に入ったからであった。
崖の道の方が豫洲国境への最短経路であり、丘中の道は少しだけ回り道をする事になる。
その時、既に二つが抑えられている事を聞いて、秋斗は夕の手際の良さに舌打ちを一つ。静かに聞いていた雛里が尋ねた事はどちらの道を抜けて行くか、であった。
大きく回り道をしていては時間の問題も深刻となり、今更街道を変更する為に引き返しては袁紹軍の本隊とぶつかってしまうという危険性がある。
どちらも一万程だとの話を受けて、強行突破をするのなら徐晃隊も本気を出さなければならないが、そのくらいなら楽に抜けると判断した。
秋斗がどちらがいいかと聞き、雛里が推したのは……緩やかな丘中の道。崖の上から射掛けられてはこの少数では抜け切れないのは確実である為に。
そしてもう一つ。丘中の道は三分の二ほど進んだ所、その西方に森があり、徐州の管理を行い始めた劉備軍文官しかしらない事であるが、そこには徐州の交通を便利にする為に作りかけている道があるとのこと。目的は豫洲との交易を行い易くする為と崖が万が一崩れた場合の合流。その森を抜ければ崖の道を抜けた先と繋がり、より早く本隊合流地点へと向かえる事になる。
秋斗はその選択に従った。
その為、徐晃隊に命令を告げたのだった。現在は分岐点まで五里ほどの道を進んでいる。
しかし――穏やかな日差しが皆を照らす行軍中。一人、先行させた物見役が帰ってくる。
「御大将! 分岐点直前に敵兵あり! 旗は郭! 軍勢は三千程です! そして……こちらに向かってきています!」
報告を受けて、秋斗も雛里もすぐさま理解した。情報をくれた民は袁家の息が掛かっていたのだと。意識から外されていたのは彼らの失態。大徳の風評に甘えていたとも言える。
民の誰しも己が命を大切にする。この状況、兵数差で劉備軍は確実に勝てないと村人に判断された事は明白であった。
相手の人心掌握の上手さに悔しさを堪えつつ瞬時に、雛里は思考を回す。進んで行っても伏兵がいるのは確実、だからどちらを選ぶかを判断しておかなければならない。自身が少数部隊戦闘の足手まといであると落ち込む心は既に捨てていた。
「やはり崖がある道は危険です。これだけ用意周到なら落石での分断も有り得ます。この少数でそれを行われてはひとたまりも無いでしょう。分岐後は丘が続いているので最初の丘を越えれば遠くまで見渡せますからそちらを」
「了解。確かにそれなら出来る限り視界がいいとこで無茶を押し通す方がいいわな。
……仕事だバカ共! 最初の敵は三千、後
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ