第55話 幾ら時が経とうと会いたくない奴に会うとテンションが下がる
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それが余計に寂しさを演出していた。その老人は、ただ同じ事を何度も何度も呟いていた。
【あぁ、私はからくりになりたい】
たまにはこの老人の悲しみが分からなかった。
ただ、その老人が何処か寂しそうで、何処か悲しそうにしているのだけは理解出来た。そして、そんな老人を見ると、不思議とたまの中で何かがキュッと締まる感覚を覚えていた。しかし、それが何なのかたまには理解出来なかった。
「え? た、たまさん!」
突如、新八が驚きの声を挙げた。それに反応し、銀時、神楽、なのはでさえも驚きの顔を浮かべていた。
たまが泣いていたのだ。からくりである筈のたまが目から涙をこぼし、泣いていたのだ。
「か、からくりが涙を……まさか、これが!」
「やはり持っていたんですのね。それこそ林博士から奪った証。からくりが絶対に流す事のない物ですの!」
求めていた物をようやくみつけられたのか? 何時に無く嬉しそうに声のトーンを上げて語るくりんちゃん。
「さぁ、早くそのホクロビームを渡して下さいですの!」
「って言うけどよぉ、こんな身動き取れない状況でどうやって渡せってんだ? 無理言うんじゃねぇよボケェ!」
「まぁ、あくまで渡さない気ですのね? だったら、貴方をお掃除して回収させて貰うまでですのぉ!」
交渉は決裂したと思い込み、くりんちゃんは跳躍した。渡さないと言うのであればホクロビーム以外の面子を排除し、首だけになったホクロビームを回収するだけの事だ。そう判断しての事だったのだろう。
「ちょっ、待てお前! 俺まだ一言も渡さないなんて言ってないだろう?」
「いいえ、さっき貴方は断言しました【お前等にこいつは渡さない。俺の魂がある間は絶対にこいつを守り抜いてみせる】と、仰っておりましたが?」
「言ってねぇよそんな歯の浮くような台詞! 何それ、俺生首に欲情でもしたってのか? する訳ねぇだろうがボケェ!」
言われのない嘘っぱちを言われ、逆上する銀時。しかしそんな銀時などお構いなしにくりんちゃんは銀時に迫る。どうやら最初の目標は銀時と定めたようだ。
「ぎ、銀ちゃん! 上、上ぇ!」
「!!!」
神楽の声に反応し見上げた銀時だったが、ガチガチに拘束されていた今の状態では身動き一つ取る事さえ出来ない。くりんの持っていたモップは真っ直ぐに銀時の脳天に向かって振り下ろされていた。一撃の元に銀時の頭蓋をかち割るつもりだったのだ。
「お父さん! 早く、早く逃げてぇ!」
「くそっ、逃げたいのは山々だけどよぉ……身動き一つとれねぇ!」
必死に身をよじらせる銀時だが、そんな事でこの拘束から逃れられる筈がなく、無駄な努力に終わってしまった。その間にもくりんちゃんは銀時の目の前にまで迫ってきた。
「あぁ、銀時
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