1-2それぞれの思惑
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ローン体でしょう?」
男は唐突にそんなことを聞かれ、部屋の天井にスカイブルーの瞳を向け唸り始める。
「俺がなんと呼ぼうが勝手だろう?」
考えたわりに口から出た言葉はあまりにも自分勝手なものだと質問した男は深い溜め息をつく。
「立場を考えて下さいボス、貴方は世界魔科学統制機関のトップです。貴方が大犯罪者カイン=フルソードを弟などと呼ばれては」
男は終始説得するような口調で喋り続けるが相手は殆ど聞く耳を持たなかった。
「あいつは犯罪者じゃないあいつも被害者だ、それにトップは上にいる老いぼれ共さ」
説得しようと思った男も疲れたのか「わかりました」とだけ言うと部屋を後にした。
「フッ…賢者共は常に見ている…か」
かつて師だった男の言葉を思い出し、ふと見た窓からは何一つ欠けていない綺麗な満月が出ており、それを透き通った青色の瞳が捉える。
「計画も順調に進んでる。あともうちょっとだ…」
男は部屋の空気が自然と重くなってることを感じると笑いを一つ零す。
第九要塞都市キリエス
カインは酒場のカウンターに腰掛けていた。酒場の隅には指名手配を受けた者の特徴と顔写真が貼られていた。その中に自分のもあり、なんとなく眺めていた。特徴には身長170cm後半と書かれ、歳は20代前半で黒のジャケットに長刀を装備している。特徴は合っており、写真に映る人物も短めの銀髪に目付きの悪い目、怠そうな雰囲気は自分そのものだった。 通り名は闇の凶襲者。自分を見つめて楽しくなれる様なナルシストでも無いため視線を外す。姿を隠すのにはフード付のローブを着用し、フードを深く被っている。酔う前に酒場を出ると次の標的である石造りの神殿を眺める。
彼は止まらない。例え罪のない人々を殺そうとも
暗い空間。言葉にするとそう表現するしかないこの空間は辺り一面が闇に支配されていた。その中に一つの光を放つ巨大な水晶が存在していた。この暗闇の空間では太陽と同様の存在である巨大な水晶の前には一人の男が水晶を眺めていた。人間の何倍ものサイズを誇る水晶には様々な事象が映されていた。彼の金色の瞳はどの事象を捉えたのかは分からないが口元が緩み始める。だがその笑みは不気味なもので、決して純粋の笑みではなく悪意ある笑みだった。
「こちらもそろそろ準備を始めた方が良さそうですね。」
それだけ言い残すと一瞬にしてその場から消え、空間は静寂で包まれた。
酒場から出たカインは月明かりに照らされた街を歩いていたが、途端に何かに誘われるように一つの路地裏に入る。辺りには建物の間から差す月明かりだけであり、音は不気味なほどにない。そんな場所に来た理由は一つだ。
「おーい!出てきやがれ!」
その声は街
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