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久遠の神話
第九十七話 ラドンその九

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 そのうえでだ、彼はこう言うのだった。
「次は」
「炎の剣士との闘いね」
「中田さんですね」
「今の彼の力は」
「ラドン以上ですね」
「ええ、彼も相当に闘ってきているわ」
 怪物達とだ、それでだというのだ。
「ラドンよりもね」
「強いですね」
「ええ、ただね」
「ラドンの力はですね」
 黄金の残りの大半はスフィンクスがその力で上城のカードに入れた。後はそれを何処かに寄付するだけだ。上城はそうしたことも見ながら答えた。
「僕の中に入りましたね」
「確実にそうなったわ」
「その分だけ強くなりましたね」
「確かにね」
「ならいいです」
 このことを受け入れた上城だった。
「とても。ですが」
「ですが?」
「中田さんも闘っておられますよね」
「今も真剣に闘っている剣士は三人よ」
 スフィンクスは上城の今の問いにこう返した。
「貴方と彼と」
「加藤さんですね」
「三人共かなりよ」
 相当に闘っているというのだ。
「だから炎の剣士もね」
「あの人もですか、やっぱり」
「闘って多くの力を手に入れていますか」
「やっぱりそうなんですね」
「剣士は闘えば闘うだけ強くなるから」
 だからだというのだ。
「彼もまた相当な強さよ」
「やっぱりそうですよね」
「ただね」
 それでもだというのだ。
「ラドンの強さはまさに神に匹敵するわ」
「そのラドンを倒した分はですね」
「貴方は強くなったわ」
 このこともまた確かだというのだ。
「だから安心していいわ」
「そうですね、それじゃあ」
「気持ちを動かさないことよ」
 これが大事だというのだ。
「そうすれば今の貴方ならね」
「勝てるんですね」
「そうなるわ」
 こう話してだ、スフィンクスは姿を消した。そうしてだった。
 上城も帰った、これでこの日は終わった。
 そしてその日が刻一刻と近付く中でだ、中田はというと。
 今は加藤と対峙していた、しかしお互いに剣は出していない。中田は加藤を見据えたまま彼に問うたのだった。
「なあ、あんたは闘いたいんだよな」
「何時でもな」
 加藤は中田の問いにこう返した。
「俺はそれだけだ」
「金とかは興味ないんだな」
「仕事はある」
 清掃業のそれがだ。
「やりがいのある仕事だ」
「だからいいんだな」
「金はな。ついでに言えば地位にも権力にも興味はない」
「国家とか組織にもか」
「俺は俺だ」
 また答えた加藤だった。
「政治は選挙に行く位だ」
「それで終わりか」
「嫌いな奴には投票しない」
 このことについても実に簡潔に述べるだけだった。
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