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乱世の確率事象改変
瞬刻の平穏
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は彼とのこれからを思うと胸が締め付けられる。しかし同時に安堵があった。
 桃香がどちらを選ぼうと、秋斗が耐えたとしても、耐えれずとも、彼はもう何も矛盾を背負わなくて済むから、と。

 彼女の頭に浮かび上がる道は……三つ。
 一つは、雛里個人にとっては一番辛い道。それでも秋斗が望むなら……耐えてみせようと心を固めて行く。
 後の二つは、秋斗にとっての絶望の後に出来る道。彼さえいればそれでいいと……彼女は少しだけ願ってしまった。

 そうして自分達がどうするか考える内、雛里は親友とした約束を思い出して二つの感情が胸に来る。己が親友を裏切ってしまった罪悪感と、彼自体が自身を想ってくれている事を知っての優越感。
 混ざり合う二つのモノを消化するのは難しい。ゆっくりと雛里は一つの決意を固めていく。

――朱里ちゃんには正直に全てを話そう。嫌われるだろうけどそれでもいい。私は彼との道を選んだんだからそうしないとダメだ。

 もやもやと、その時に朱里が自分に対してどうするかを予想しながら、もうすぐ徐晃隊に構えさせた場所に着く辺りで立ち止まり、一つの提案をすることを決める。 

「……どうした?」
「秋斗さん。桃香様達の所に着いて交渉の結果を聞いたら……そ、その……もう一度私から伝えさせてください」

 急に立ち止まった雛里を不思議そうに見ていた秋斗は少し驚き、

「ん、分かった」

 眉を寄せ、一寸の後悔が見える雛里の瞳の色を見て、何かあるんだろうと予想して頷き、ポンと頭に手を置いて帽子越しに撫でて、何も聞かずに前を向いて歩き出した。
 とててっと急いで雛里も倣って歩き出し、心の中で懺悔を呟く。

――ごめんね朱里ちゃん。もし……全てを話した後に私を許してくれて、それでも秋斗さんの事が好きだって言うのなら、また私と一緒に歩いて欲しいな。私は秋斗さんの事を独り占めするつもりは無いから。私は……彼にとっての『特別』になれたら、それだけでいいから。

 それは願いと欲。裏切ってしまった親友に対して、彼の事を想うモノに対しての。そして少しでも多くの人に彼を支えて欲しいが為のモノ。
 彼女は気付いている。
 月がどこか特別な感情を抱き始めている事も、詠が徐々にではあるが女として心を許し始めている事も。まだまだ時間が掛かるとしても、確実に二人は秋斗に対して自身と同じ感情を向け始めるだろうと。そして既に慕っている星も朱里もいる。
 彼女とて嫉妬はする。しかし自分の事を顧みない程に歪んでしまった彼が、たくさんの生きている人から生きて欲しいと想いを向けられて、自身の平穏を感じてくれるならそのくらい抑えようと考えていた。
 どこまで行っても彼の幸せを願っている彼女は、あと一つ角を曲がれば徐晃隊の待つ場所となった時に手を離す。秋斗もほ
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