暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十二話 奈落
[2/6]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
ーゼル提督が驚いている。艦隊は指揮官無しでバラバラに戦っている? どうやら提督も知らなかったらしい。
「フェザーンのマリーンドルフ伯から連絡が有った。主だった貴族達は地表に居た様だ。今は同盟軍に追われて高等弁務官府に逃げ込んでいる。既に周囲は包囲されたようだな。逃げ出す事は難しいだろう」
「……」
誰かが溜息を吐いた。
「もっとも同盟軍の包囲が無ければフェザーン市民が襲撃しているだろうとマリーンドルフ伯は報告している。市内の彼方此方で貴族連合軍とフェザーン市民が衝突しているらしい。同盟軍に叩かれフェザーン市民に襲われ状況は最悪だな」
「……」
皆、苦い表情をしている。予想はついた事だが貴族連合軍はフェザーン市民の恨みを買いまくっていたらしい。
「既にミューゼル中将には話してあるが今回遠征に参加した貴族達には敗戦の責任を取ってもらう事になっている。領地、財産の没収と爵位の剥奪だ」
皆がまた顔を見合わせた。貴族達が素直に従う事は無い、当然だが抵抗するだろう。
「出撃の準備をしておけ」
そう言うとオフレッサー元帥が席を立った。皆が起立して敬礼を送る。元帥はそれに応えることなく部屋を出て行った。
宇宙歴 796年 1月 6日 フェザーン 帝国高等弁務官府 ミハマ・サアヤ
「ここに来るのは久しぶりですね、ミハマ中佐」
「はい、この前来てから三年が過ぎました」
私が答えるとヴァレンシュタイン総司令官代理は目の前に有る帝国高等弁務官府を懐かしそうに見ました。“そんなになりますか”と呟いています。
私はちょっと複雑です。この高等弁務官府で開かれたパーティに出た事を忘れた事は有りません。温かくて切なかったパーティ。ですが後にはあのパーティに出た事を酷く後悔しました。私が情報部から離れたのもあのパーティが切欠です。温かさと切なさの陰に有ったのはおぞましさと嫌悪でした。
貴族連合軍との戦闘は既に終結しています。あっけない程の包囲殲滅戦でした。包囲するまでも容易でしたが包囲してからも貴族連合軍からは手強さはまるで感じられなかった。兵力は膨大でしたが纏まりが無く連携の取れた反撃は無かった。同盟軍の攻撃の前に為すすべも無く撃破されていきました。貴族連合軍は数だけは多い烏合の衆だったのです。
最終的に貴族連合軍は残り三万隻を切った時点で降伏してきました。それも全体で降伏したのではなく疎らにバラバラと降伏してきたのです。全軍を指揮する総司令官も居ないまま戦っていた。総司令官であるブルクハウゼン侯爵は地表に降りていた。結局戦闘中は連絡が取れなかったとか。余りの惨状に皆が呆れていました。
地上戦も終結しています。こちらは艦隊戦よりも早く決着が着きました。貴族連合軍はブラスター等の軽火器しか持
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ