暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep29それは少し前の出来事〜Return〜
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インフォースと迷える少女§

†††Sideリインフォース†††

これは、ルシリオンと、小さな勇者だった高町なのはのその娘ヴィヴィオ、そしてレヴィ・アルピーノとの戦いから数日後の話だ。
ルシリオンが数日前の戦いで負ったダメージも回復し、再び私ノーチェブエナと任務に就いている。今回は荒事ではないことから、マスターが気を回してくれているのかもしれない。
男女の機微には疎い、というよりかは全く解らない私でも、マスターがルシリオンに向けている空気くらいは読める。

(曰く、ルシリオンは鈍い)

明らかにルシリオンはマスターを異性としては見ていない。それでもマスターは、ルシリオンの身体を気遣ってか、この緩い任務を回した。と、私は推測する。当たっているかどうかは不明だが。

チラリと隣を歩くルシリオンを見る。私がこの男ルシリオンと出会ったのはかなり前の話。未だ私が“闇の書”の管制プログラムだった頃だ。
心優しき我が主・八神はやてを蝕む呪いとも言える“闇の書”の侵食。それを食い止めるためにリンカーコアを蒐集し、“闇の書(わたし)”のページを増やそうとした守護騎士たち。それを止めるために動く管理局の小さな勇者たち。ルシリオンはその小さな勇者たちの1人だった。

幾度も想いと刃の衝突を繰り返す。その戦いも終結し、私が主はやての未来を守るために消滅を選んだあの日。私は主はやてとの別れを済まさずに儀式を始めた。主はやてを悲しませたくなかったから。しかし、ルシリオンともう1人の勇者シャルロッテ・フライハイト。あの2人は私の思いとは裏腹に主はやてを連れてきてしまった。

――ねぇリインフォース、あなたは別れを告げるとはやてが悲しむと思ったから、こうして黙って逝こうとしたんでしょ? でも目を覚まして、そこにあなたがもういないと知ったら、はやてが余計に悲しむと何故わからないの?――

フライハイトは私をそう叱った。というよりは諭した。そうだな、と私は思った。何も告げずに消えることが、かえって主はやてを悲しませる。そんな単純なことにすら気付かなかった。ルシリオンとフライハイトの2人のおかげで、私は主はやての心に最悪の傷を付けずに済んだ。
感謝してもしきれない恩だ。私は主はやてにも守護騎士たちにも小さな勇者たちにも別れを告げることが出来、そして穏やかなまま天へと逝くことが出来た。

「どうした、ノーチェブエナ。私の顔に何か付いているか?」

あまりに長い時間ルシリオンを見ていたことに気付く。私は「いや、何でもない」と素っ気なく返し、「そうか」とルシリオンが言ってまた歩き出す。そう言えば、ルシリオンとこういった時間を過ごすのは2年ぶりくらいか。

私がマスターによって再びこの生の世界へと戻された時、すでにルシリオンが居た。そしてトパーシオ
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