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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
敵情視察 ─柳洞寺のサーヴァント─
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、戦慄へと塗り替えられた。

 恐らくアサシンのクラスであるはずの男が持つ、流雅な長刀を見た瞬間、俺は。





 己が首を撥ね飛ばされる光景を幻視した──────





 思わず後ろに身を引いていた。

 それは聖杯戦争が始まってから、何度か感じた死の感触。
 ライダーに襲われたとき、バーサーカーと対峙したとき、一つ間違えれば自分の死体が転がったであろう状況。





 そう────日常では感じ得ないこの独特の高揚感にも似た感動が、何故こんなにも俺を魅了するのか。



 それを初めて感じたのはいつだったか。

 それを最後に感じたのはいつだったか。



 聖杯戦争なんてものに身を投じる以前。
 高揚感に満たされながら、命を奪い合う興奮を最後に味わったのは。



 黒守の銘を継ぐときに、■祖■を■■手■■■たときだったか。





 目眩を振り払い、目の前のサーヴァントに対峙する。

 恐らく、俺とフェンサーは既にアサシンの間合いに入っている。
 ほんの一瞬でも反応が遅れれば、その刹那にどちらかの首が跳んでもおかしくはない。

「貴方、アサシンよね?」
「いかにも。この身は暗殺者のクラスを依り代として呼び出されたサーヴァントだが」
「おかしいわね。アサシンのクラスで呼び出されるサーヴァントは決まっている。
 無数に存在する山の翁の中から選ばれた一人が、この世に現界するのだけれど…………貴方、どう見ても暗殺者っぽくないわ」

 清流のような殺気にも怯まず、フェンサーはアサシンと言葉を交わす。

 命を決するだけなら会話など不要なものなのだが、アサシンにはこちらを殺す気はあっても、殺そうとする意思がなかった。

 何が楽しいのか、アサシンの表情からは典雅な笑みが絶えることはない。

「それはそちらも同じであろうよ。元より存在せぬ匣を以て現界しているそなたが、虚ろう我が身を否定するのか?」
「私のクラスは仮名みたいなものよ。けれど確かに、ルール違反はお互い様よね」

 侍に応じるように、銀の少女もクスクスと笑う。

 正直言葉を挟めない俺からすれば二人の会話は不可解なことこの上ない。
 話をするのは構わないが、すぐにでも戦闘が始まりそうなこの緊迫した空気はどうにかならぬものか。

 警戒も緊張も解くことが出来ず、精神だけが疲弊していく。

「して、何用だフェンサー。今宵は客人が多くてな。この門を通るというのなら、相手を務めねばなるまい」
「今晩は挨拶だけよ。明日までは戦わないっていうのが、私のマスターの御意向なの」
「……ほう。女狐めが弱っている機を狙って来たのかと思っていたが」
「さすがにサーヴァント二
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