暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
敵情視察 ─柳洞寺のサーヴァント─
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た詳細までは見て取れない。
フェンサーはキャスターとは別の意味で桁外れの魔術行使をするので、彼女には事の子細がハッキリと確認できているのかもしれないが。
「セイバーを白兵戦で押し止めてんのか? バーサーカーかランサーぐらいにしか無理だと思うんだが」
「んー、多分アサシンじゃないかしら。今まで記憶した人相、魔力と一致しないもの」
なるほど。まだ出会っていないのはアサシンだけなのだから、自然と相手の正体は割れるわけだ。
けど今の発言の問題はそんなことじゃなかった。
「アサシンに正面からセイバーを止めておけるような能力はないだろ。アサシンてクラスの根底が覆るっちゅーねん」
「何事にも例外はあるでしょ。特殊技能や宝具の力次第では足止めくらいは出来るかも知れないし、キャスターに味方しているようなこの状況は…………」
「あぁ、マスター同士が手を組んでるって可能性があるのか。魔力を溜め込んだキャスターのバックアップと、
陣地
(
テリトリー
)
としての優位性が重なれば、確かに足止めくらいは出来るかも」
唯一正体不明だったアサシンがこんなところで現れるとは予想しなかった。
これは柳洞寺を再調査に来て正解だったと言える。
とにもかくにも、戦況が一旦落ち着くまでは見物に徹していよう。
一段落ついたなら、一度アサシンの顔を拝むために柳洞寺内部に足を踏み入れるしかない。
「長ぇ階段だなぁ……」
柳洞寺の正門へ続く、石畳の階段を一歩ずつ踏みしめ進んでいく。
ひとまず、四人のサーヴァントによる二つの戦闘は決着した。
脱落したものはおらず、キャスターはかなりの損傷を、アーチャーはキャスター、アサシンと続けて戦闘したことによる魔力の枯渇。
士郎はまた大怪我を負いながらも生還し、セイバーには大した損耗は見られなかった。
両者痛み分けといったところか。
多少なりとも被害の大きかったキャスターも、アサシンという守り手がいるとわかった以上単独で攻め込むわけにはいかず、アーチャーにも個人的な事情から手を出すのは憚られた。
凛とは最後に真っ向勝負がしたいなんて私情を挟まなければ、アーチャーは脱落させていたのに。
余計な部分だとは自覚しつつも、凛との勝負は数少ない自己から湧いた欲求の一つなので、出来るなら叶えたい。
戦況分析や情報整理をしながら、石段を着実に上っていく。
「そろそろ山門近いんだけど……何も起きねぇ」
「……………………」
そのとき、フェンサーは既に気づいていたのだろう。
俺が心の中で抱いた、『なーんだ、何もないじゃん』……などという楽観視した感想は。
幽鬼のように現れた目の前のサーヴァントによって
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