暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
敵情視察 ─柳洞寺のサーヴァント─
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。ギリギリまで入ってみようぜ。
 中がどうなってるのか、最低でもどんなトラップが配置されてるかぐらいは確認出来るかも」
「それで敵と鉢合わせになったら?」
「全力で撤退する。今日はおまえに戦闘はさせない……これが最優先するべき方針だ。
 たとえ誰かと接敵しても、あっちもわざわざ深追いしてまでこちらを倒しにかかることはないと思う」
「…………わかったわ。あくまで探察することが今夜の目的ね」

 返事までに若干間があったのは、不服である意思表示を含めてか。

 俺としてもフェンサーの肩の負傷が、ほとんど治っていることは承知している。
 だが僅かにでも万全ではない状態であるならば、直接戦闘は避けたいのが本音だった。

 襲われたりしたなら話は別だが、何も戦うことだけが勝利に結び付くわけではない。
 戦地の事前調査や敵についての情報収集なども、戦争を生き残るには不可欠な要因である。

 英霊と呼ばれる者としては戦いこそが誉れとなるのかもしれないが、未だに七組のマスターとサーヴァントが残っているのだ。
 慎重に立ち回ることが今後の活動に悪影響を及ぼすようなことはないのだから、今の時点では大っぴらに動きを見せる必要もない。

「不満があるのはおまえだけじゃないぞ。俺だって結果は欲しいが、欲張ってもいいことなんてないからな」

 他のマスターたちの目立った痕跡がないのも、まだその時期じゃないのと、自分から動きを見せるリスクを考慮してだろう。

 敵を挑発せんばかりに目立った行動ばかりしているのは、凛とアーチャーの二人くらいである。

 …………別に凛がアホというわけではなく、アレは喧嘩を売ってくるならいつでも受けて立つという意気込みと、相手が誰であろうと自分達が勝つという自信の表れだ。

 そんなところも“遠坂凛”らしいし、行動方針として間違っている訳ではない。
 しかしそれで釣られるような相手ばかりなら苦労はしない…………敵もそれを踏まえているはずだ。

 もしも誘われていると知ってなお姿を見せたなら、それは相手にも勝つ算段があってのこと。
 凛のやり方で敵が出てきたとしたら相手は釣られた馬鹿ではなく、わざわざ出向いてくるほどに準備を入念に行った、必勝を期した相手だ。

 一番分かりやすいやり方ではあるが、相手にアドバンテージを与えてしまうのはうまくない。
 それごと敵を叩き潰す自信は結構だが、己の方針に足元を掬われてしまっては本末転倒だ。

 それなら俺はもう少し賢しいやり方を実践する。

「とりあえず柳洞寺に行ってみよう。何もなければ、今日は引き上げだ」

 フェンサーを引き連れて夜の街を闊歩する。

 本日二度目の、柳洞寺訪問だ。









「こりゃ
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