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或る皇国将校の回想録
第三部龍州戦役
第四十二話 戦争の夏の始まり、或いは愚者達の宴の始まり
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皇都へと向かっていたが、想定よりも〈帝国〉来冠が早かった為に計画を変更して、下護にて船舶を徴発して龍州へ急行をする事になった。
 そして、駒州鎮台は四個旅団・及び幾つかの独立部隊からなる約二万名の兵団を陸路にて派兵を開始した。
 近衛総軍は初動の混乱があったものの、衆兵隊・禁士隊の常備部隊を総軍司令部の直属下とし派遣軍として改組を終えると、駒州鎮台の派遣兵団の後を追う形で陸路にて龍州へ向かった。

七月八日
午前第五刻前後に〈帝国〉陸軍は揚陸開始、夜半までに〈帝国〉軍は6里の縦深確保し、第二陣である第15東方辺境領重猟兵師団が展開を開始する。
東州鎮台派遣兵団は龍州軍に合流、龍州軍司令部の指揮下に入り〈帝国〉軍と交戦に入る。

七月十日
背州・皇州都護鎮台から派遣された兵団が合流、東州派遣兵団麾下に組み込まれ、龍州軍司令部指揮下の集成第二軍として編成される。

七月十四日
西州鎮台派遣兵団が合流、龍州軍指揮下に入る。

七月十六日 
駒州鎮台派遣兵団・近衛総軍が到着、駒州鎮台派遣兵団は西州鎮台派遣兵団と共に集成第三軍として再編、この時点で〈皇国〉側が投入を予定している全兵力が合流。
龍州軍・集成第二軍・集成第三軍・近衛総軍により構成された龍口湾防衛線の指揮権を龍州軍司令部が担う旨を陸軍軍監本部が発令。



皇紀五百六十八年 七月十六日 午後第六刻 集成第三軍司令部
集成第三軍 独立混成第十四聯隊 聯隊長 馬堂豊久中佐


十個旅団を主力としているだけあり、指揮官集合がかけられた第三軍司令部の大天幕は将校達と下士官たちでひしめいており、盛んに産まれて初の、或いは四半世紀ぶりの戦争に恐怖と興奮の入り混じった将校達によるざわめきに満ちていた。
北領で戦い抜いた英雄の一人である青年中佐に時折、視線が飛ぶが本人は知らぬ顔の半兵衛を決め込み、扇子を弄んでいる。
 司令部の参謀たちは西領の出身者が多く見られる。西州派遣兵団の司令部が中核となっているから当然といえば当然なのだろう。
 
「――第三軍司令官殿が入室されます!総員、気ヲ付ケェ!」
 従兵の号令に皆が立ち上がると、短く刈り込んだ灰色の髪に退役間際の老下士官のような皺を刻み込んだ顔の老人が闊達な足取りで天幕に入室した。
「儂が第三軍司令官を拝命した、西津忠信だ。諸君の忠良と奮戦に期待する」
  西原の分家筋の中で尤も武名の高い宿将である。既に還暦を迎えているが、胸に野戦銃兵章を含めた数々の略綬つけた軍服を着こなし、威風を纏いながら集まった将校達を睥睨する姿は絵巻物に書かれている諸将時代の武将そのものである。〈皇国〉が、謳歌した四半世紀の太平の始まりであり、〈皇国〉陸軍が最後に軍単位の動員を行った東州の乱で新鋭の聯隊長として活躍した経験があり、いわゆる年
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