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とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第12話 つかのまのきゅうそく!
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な奴にも特技があるらしい。リュートの調べを背景に、食卓は一層盛り上がった。
 エレアノールに目をやると、彼女もたまたまウェルドをみた。
「お酒には、強いのですか?」
「ん? まあ、こうして誰かと飲むぶんにはな。一人で飲むのは苦手でね。どうにも気が滅入っちまう」
「そう……」
 エレアノールが黒髪を背中に払うと、白い首筋が露わになり、ウェルドは一瞬で酔いが醒めた。
「ここに来て、調子は如何ですか?」
「あ、うん、まあ……やっと一息ついた所かな! 太陽の宝玉があるっていう階層にもたどり着いた事だし、新入り仲間の顔と名前も一致するようになったしな」
「それはよかったですね」
「エレアノール、あの」
 ウェルドはエレアノールと会話を続けたくて、話題を探した。
「そういえば歳、何歳?」
「私は十九です」
「じゃあ俺と同い年じゃん! うわっ、びっくりしたよ。もっと年上かと」
 と言ったところで、それが女性に対しては失礼に当たると思いいたり、
「いや、その、変な意味じゃなくてさ……落ち着いてるし、大人っぽいし、失礼な意味じゃないから!」
 エレアノールは微笑み、目を伏せた。
「じゃーん! あのね、みんな! オイゲンさんの所から古い壁新聞もらってきたよ!」
 サラが立ち上がって、しわくちゃの紙切れを広げた。
「壁新聞? なにそれ」
「えーっとね、ランツの町にいるオイゲンさんのお友達が、カルス・バスティードの外で起きてる事を紙に書いて転送機で送ってくれるの。これが読めたら、町の外で起きてることがわかるんだって!」
「ふーん」
 ジェシカはウェルドを振り向いた。
「ウェルド、あんた字が読めるんでしょ? 読んでよ」
「いいぜ。サラちゃん、こっちくれるかい?」
 立ち上がり、壁新聞を受け取るとざっと目を通した。
「えーっと、なになに? ……うん、まず最初は俺達がここに来た時の崖崩れについて書いてあるな! あの時カルス・バスティードに向かってたのは八十七人もいたんだってさ。たどり着いたのは俺達だけだけどな」
「うんうん」
「えー、次にぃ、ミバル公殺人事件について!」
「殺人事件?」
 ジェシカが仰け反る。
「待てよ、今読むから……『去年の秋、ラコース王国の第二の実力者ミバル公が森の中で実子に殺害された話を今まで何度か書いたが、二か月前、その犯人がプレーゼの町で目撃されていたそうだ』……プレーゼか。カルス・バスティードにも近いな……えー、『これはもちろん推測だが、犯人がカルス・バスティードに向かった可能性もある。無事町に入れたか、山崩れで引き返したかはわからないが、後者なら賞金稼ぎのいいカモになるだろう』……ってさ」
 壁新聞をおろすと、全員の視線が自分に集まっていることに気付いた。オルフェウスのリュートもやんでいる。

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