第一部 vs.まもの!
第12話 つかのまのきゅうそく!
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とこで食ってたけど、朝飯食える場所なかったもんな。他の連中は?」
「みんなもう帰ってきてるよ。一緒に食べよ!」
地下には十四人が座れるだけのテーブルが並べられ、ちょっとしたご馳走が広がっていた。トマトの冷製スープに肉のパイ、新鮮なチーズにオレンジ。
「おー、すげえじゃん! サラちゃんが作ったの?」
「うん! あたしずっとお母さんの孤児院のお手伝いをしてたから、料理は得意なんだ。それにシャルンさんやルカさんが手伝ってくれたんだ」
「しかしよくこんなに食料が手に入ったな」
「今日、転送機で新しい山羊と鶏とお野菜が送られてきたんだって。ミルクと卵がやすくなるよ! それとね、畜舎で牛を一頭捌いたんだって。頬肉をおまけしてもらったの!」
「へぇ」
「じゃ、みんな、食べよ!」
エレアノールとルカの間に空席があった。座るとき、エレアノールと目があった。彼女が微笑みかけてくれるので、ウェルドは笑い返した。
食事が始まった。
「奇跡だ、神があなたのように美しい女性と言葉を交わす機会をくれた」
エレアノールの向かいはレイア。そのレイアにオルフェウスが語りかける。レイアは目もくれず、焼きたてのバケットにチーズとハムを乗せながら
「死ね」
むしゃむしゃと食べ始めた。各自の席で、めいめい食事や談笑を始めている。ウェルドも籠から丸パンを取り、ちぎって食べた。
「うめぇ!」
「ああ、冷たい横顔が堪らない……。それにしてもこんなに美しい女性たちが目の前に二人も現れるなんて、神は残酷な事をする。僕は一人しかいないのに!」
「一人いりゃ充分すぎるだろてめぇは……」
オルフェウスはウェルドを無視して喋る。
「好きですよ、その冷たい態度。本当は誰より熱い情熱を秘めていながら、心を開く事を恐れて冷たい女を演じてみせる……ですが、恐れる事はありません、あなたの心を開くのはぼグフッ!」
レイアの右腕が素早く動き、裏拳がオルフェウスの顔面に沈む。オルフェウスは椅子ごと後ろ向きにひっくり返った。
「興醒めだ」
レイアは出て行ってしまった。
「馳走になった」
一方、ディアスがトマトのスープを飲んだだけで席を立ち、皿を厨房の片隅で洗うと早々に一階に上がって行ってしまう。
サラが悲しげに眉を垂らした。
「ディアスさん、お口に合わなかったのかな」
「ああ、あいつは変わってるんだよ、ほっとけほっとけ。すげぇ美味いぜ、サラちゃん」
「本当? 嬉しいな!」
「お酒もあるわよ」
イヴがテーブルの下からワインのボトルを出す。
「いいのかよ」
とパスカ。
「あんた、ルミニアの出身だろ? あんたルミニアで酒飲める歳だっけ?」
「あら。この無法地帯で無粋なことを言うのね。ウェルド、あなた好きでしょう? あげるわ」
「いいのか?」
「新
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