嫉妬、嫉妬、嫉妬。
[8]前話 前書き
何の気遣いもなしに抱かれたあの日以来、小宮が俺に近づくことはめっきり減った。
仕方なくこっちから話しかけようとしても、他の奴に話しかけてそれを阻止したり、目を合わせないように断られたりと――甚だイラつく奴である。
「あーマジむかつくあいつ!!」
隣に座った、クラスメイトであり幼馴染の網条良介(もうじょうりょうすけ)にそのことを愚痴る。
「そうなのか?俺、最近は結構しゃべるようになったけど」
「はぁ!?避けられてるの、俺だけ?亮介ってあいつから苦手視されてたろ?」
「そうなんだけどさ…普通に話しかけてくるし、いい奴だし」
いい、と聞いて、俺の身体が跳ねる。
「っあんな奴のよくねぇし!」
いきなり声を荒げた俺に対し、眼鏡の奥の瞳を丸くした良介は「お前、顔赤いぞ?大丈夫か?」と忠告してきた。
「…ぇ、あ…歌いすぎた、かな?ちょっと冷やしてくる」
カラオケボックスを出て、溜息をつく。
「何で、避けるんだよ…」
「あれ、かみっきーじゃん!良介たちと来てんの?」
聞いたような声。その方向に目を向けると、クラスメイトの女子(派手組)が笑いながら話しかけてきた。
「おー、さっき振りー。パーティークラスだな、この人数。何人いるんだ、これ?」
「女子が14人と男子が1人だよー。ちょっとハーレム作ろうかと思って」
「いやハーレムってw…で、その幸せな奴って誰よ?」
自然に、小宮が顔をのぞかせる。
「――ッ!?」
そして、また目をそらす。
(んなんだよ、クソ…)
そう思いながらも、引き攣る笑顔を浮かべて「ああ、小宮だったのか。羨ましい奴だな?」と言葉を紡ぐ。
「…」
(無言かよ。マジでムカつく)
「あ、時間なくなっちゃう。じゃ、うちらも歌うわ!また明日ね、かみっきー!」
「おう、明日なー」
敢えて、小宮から顔を背ける。
しかし彼は何も反応せず、女子と一緒にカラオケ店内に入っていった。
「……あー、クソ…。何なんだよ、これ…」
たぶん、この感情は――俺のこの心は、女子たちへの嫉妬。
(俺、いつの間に小宮のこと好きに――)
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