昔話2
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「公宏が言ってました。創立祭にヒカルが来て、公宏の出した詰碁を一瞬でヒカルは解いたんです」
「あー、そんなこともあったかなあ・・・?」
ヒカルは宙を見上げて適当な返事をする。私はすぐに、ヒカルが覚えてないのだと分かった。公宏と最初に会った時のことなのに。
「あの時は楽しかったなあ。団体戦でみんなが一つになって、筒井さん、三谷と、あかりも応援しに来てくれて・・・」
まるで今が楽しくないような言い方だった。でも、理解はすることができた。過去はやっぱり特別な魅力があるのだろう、今を楽しんでいても。時間は、戻せないから。
「あと一人、誰かいた気がする」
「加賀さんですか?」
「加賀もだけど・・・違う」
ヒカルは天井に記憶を映し出しているようだった。私たちはそれを見守った。
「塔矢君のことでしょ。あなた一回中学で対局したんでしょ?」
お母さんの助け舟はヒカルが求めていた船ではなかったようだ。ヒカルは答えが見つからないむずがゆさに顔をしかめた。
「あいつもいたけどさ・・・」
塔矢さん、その頃からヒカルを追いかけてたんだっけ。
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