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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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たその一言につられたように、ソレイユも何の気なしに周囲を見回した。そして



身体中に怖気が走った。



三人の周囲には、いつの間にか人影がいなくなっていた。それも生半可な事象ではない。

なぜなら、鈍色の石で舗装されている大通りの両脇に、まるで縁日のごとく大量に軒並み連ねている露店のNPC店主までもが、その姿を綺麗に消失させているのだ。

NPCには、それぞれ決まった行動可能領域を持っている。圏内の、それも店番クラスのオブジェクトに、店を離れる事のできる広大な領域を保持しているとはにわかに考えられない。

これはただごとではない。

考えすぎだと願いつつ、ソレイユは早くも意識を戦闘状態へと移行する。

今三人がいるのは、ALOの中心部である世界樹の天辺に据えられた大都市、イグドラシル・シティの中央広場へと東西南北から一本ずつ伸びる大通りのうちの、東大通りだった。

イグドラシル・シティは結構大きな都市なので、中央広場まではまだまだある。三人がいる地点より少し先は、ちょうど真横に通る道とぶつかって十字路になっていた。

その、右側。

ちょうど角が死角となって視認することは叶わないが、しかしその場にいる全員が静寂に包まれた空間の中で確かに聞こえていた。

それは音。

コツッ、コツッ、という一人分の靴の音。

―――歩幅が小さい。子供か………?

ふと、あごにドロリとした感触を覚えた。左腕で拭ってみると、それは汗だった。

つまりは、そういうこと。

《剣聖》たる彼に、冷や汗を掻かせるほどの圧力(プレッシャー)が空間に、まだ視認していないにも関わらず充満しているということだ。

殺気ではなく、ただの存在感だけで。

見ると、巫女装束の闇妖精(インプ)は早くも背に負う大太刀の柄に手を掛けていた。マイの方は、邪魔にならないような位置へと退避している。

「対応早いな。いやまぁ、こっちとしては大助かりだが」

「あの方に付き合ってれば、いやでも慣れます」

あの方というのは、二人の捜し人のことだろうか。だがしかし、ううむ、ますますどんな人物か分からなくなってきた。

足音はもう、すぐそこまで迫っている。

それを如実に感じたのか、囁くような声でカグラが口を開く。

「ところで、ソレイユ。疑うようではありませんが、あなたの腕前は………?」

「まぁ、自分の身を守れるくらいはできっから、心配しなさんな」

そうですか、とだけ呟き、巫女は顔を前に戻した。しかし、柄に手を掛けた大太刀は抜刀しない。刀使いも色々いるが、彼女の場合は納刀から抜刀の一連の動作を攻撃の主動作として戦う、居合いタイプなのだろう。

コツッ。

コツッ。

コツッ。


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