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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十一話 解放の時
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戦部隊が抑えた。貴族達に逃げる手段は無い、それに第七、第八艦隊の攻撃も始まった。このままいけば貴族連合軍は殲滅されるぞ」
第七、第八艦隊の攻撃にどよめきが起きたのはそれが理由か。貴族達は逃走手段を奪われ為す術も無く撃滅されつつある。
「特設第一艦隊も戦闘しているのか? あまり戦っているようには見えないが」
「直接には戦闘に参加していない。後方に有ってヴァレンシュタインは全軍の指揮を執っている。予備としての役割も有るだろう」
予備か、二万隻の艦隊を予備にしている、余裕だな。それも不意を突いたからか……。
『第三混成旅団第八十三連隊、治安警察本部を占領!』
『ローゼンリッター、自治領主府を占領!』
一際大きく歓声が上がった。
『第一、 第二、第三艦隊が迂回に成功! 後方を遮断しつつあります!』
さらに歓声が大きくなった。会議室でも興奮した様な声が彼方此方から上がった。
『全艦隊に命令を出してください。包囲網が完成するまで気を抜くな。目標は貴族連合軍の撃破では無く殲滅であると徹底してください』
ヴァレンシュタインの声だ。微塵も昂ぶりは感じられない。スクリーンから歓声が消えた。会議室からも消えた。スクリーンに映るヴァレンシュタインは平静、いや無表情に近い。
『た、直ちに全軍に徹底します』
静まり返った会議室に幕僚の緊張した声が鮮明に流れた。先程までの喧騒は綺麗に消えている。
『ヴィオラ大佐、地上制圧の進捗状況は?』
ヴァレンシュタインに問い掛けられて肥満体の士官が緊張を露わにした。
『はっ、幾分遅れております。貴族連合軍は思ったよりも多くの人数が地上に降りていたようです。陸戦部隊はそれらとの戦闘で想定外の時間を取られています。それとフェザーン市民と貴族連合軍が彼方此方で衝突しています。その事も遅れの一因になっているようです』
ヴァレンシュタインが頷いた。
『増援は必要ですか?』
『いえ、今の所各部隊から増援の要請は有りません。進捗は遅れておりますが予想外の損害が出ているわけではありません。貴族連合軍は指揮系統を確立出来ず抵抗は秩序だったものとはなっていないようです。現時点では増援は必要ないものと判断します』
ヴァレンシュタインがまた頷いた。
『念のため準備だけはしておいてください。それと公共放送センター、中央通信局の制圧を急がせるように。制圧後は我々が解放軍であり善良なフェザーン市民に対して危害を加えることはないと周知を。不必要な衝突は避けたい』
『はっ。制圧を急ぐように命じます』
ヴァレンシュタインが三度頷いた。冷静だな、本当に戦争をしているのか、いや勝っているのかと聞きたくなるくらいだ。
「ヴァレンシュタイン中将、今良いかね?」
ボローンが問い掛けると“どうぞ”と答えが有った。
「先
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