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Tellus
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「S級反乱者カイン=フルソードが第三防衛ラインを突破!増援を……あ?」

第十要塞都市パルではカイン=フルソードの侵入が見られ外出禁止令が出されており、街には市民の姿はなく、代わりに居るのは銃や剣を構える兵士達だ。カイン=フルソードは第三防衛ラインを突破し、一人の兵士が目の前の脅威の名前と状況を伝えるが、言葉は途切れる。

「わりぃな」

その言葉を最後にその兵士は意識が沈んでいく、カインは先程殺した際に付着した返り血を手で軽く拭うと、街灯は消えており、街を照らすのは月明かりと銃の発火炎、それに付いてくるように鳴り響く銃声。街は極度の緊張状態に包まれる。

「城まではもうちょいか」

暗闇の中に建つ城は月明かりに照らされ神々しささえ出ている。カインはその城を一瞥すると、長い溜め息を吐き出す。後ろから迫ってくる兵士の群れに嫌気がさし、またしても溜め息を吐き出し、左手の刀を握り直し、右手の魔導式拳銃には魔力を込め直し、街路を駆ける。



「はぁ…はぁ…やっと着いたか」

ひたすら走り続け乱れた息を整えようと一つ深呼吸する。服を返り血に染めた彼の姿はまるで殺人犯の如く不気味な雰囲気を醸し出している。そして目的地の城には宝物を強奪するために押し入ったのではなく、城の地下にあるはずの物を破壊することにある。城を堂々と不法侵入すると、いつもの光景が広がる。剣の切っ先が、銃の銃口が、魔方陣が、こちらに向けられている。憎悪に燃える瞳がこちらを強く睨み付ける。この光景は何度見ても慣れない、まるで“こちらが悪党で向こうが正義のよう”で、その苛ついた気持ちを力に換算するように刀の握る力が増す。そして爆発したように戦う。



「やっぱ駄目だな、イライラしながら戦うのは…いって!」

城の地下は暗く、月明かりも届かない地下では一つの球体が灯り代わりになっていた。カインはその球体の光で服に付いた赤い血の面積を増やしているのが分かった。その血の中にはカイン自身の物も含まれている。腹部には弾丸が貫通しており、先程から出血が止まらず、傷口を手で添えているだけだった。速く帰る為にも目の前にある球体を破壊してしまおうと決心し、立ち上がる。その球体は光の塊みたいなもので、その光は視線を外すことを許さぬかのように魅力的な光を放っている。だがその球体は刀を一振りすれば斬れてしまい、銃の引き金を引いてしまえば弾丸が貫通する。要は壊せるのだ。カインは刀を構える。

「それを壊されたらこの街は生活が出来なくなんだけど?」

後ろから聞こえる軽い口調の声だが確かな殺気が含まれている。振り向くと顔は見えないが青が基調の軍服の兵士だ。

「あんた、普通の兵士じゃないな?」

前に立っている男は雰囲気が今までの奴とは比にならないほどのものだ。


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