07:”黄昏の君主”
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ものすごい熱がジャックを襲う。
そして、ジャックの感じる驚愕はそれだけではない。魔城の召喚した眷獣、《原初の火焔世界》は、聞いたこともない能力を発揮したのだ。
「馬鹿な、『眷獣を使う眷獣』だと……!?」
そう。眷獣による、眷獣の召喚。もともと、吸血鬼の眷獣は『招かれざる来訪者』たちの様に、異世界からやって来る魔物だ。それが吸血鬼にしか扱えないのは、出現の際に膨大な量の負のエネルギーを喰らうからだ。負のエネルギーを無限に蓄える吸血鬼以外が眷獣を使用すれば、たちまちすべての生命を喰らわれて灰になってしまうだろう。
絃神島に住まうという人工生命体には、世界で唯一眷獣を使うことができる人工生命体がいるという。ちなみにその人工生命体は現在メンテナンス中とのことで、警戒対象には入っていなかったのだが……。
それよりも、眷獣が眷獣を使うなどという前例は、全く聞いたことがなかった。
「珍しい、ですよね。僕がコントロール権をもっている眷獣は三体だけです。ただ、その三体がそれぞれ眷獣――――より正確には《疑似眷獣》を所持しているため、彼らを展開させて、それから彼らに眷獣を使ってもらって戦うんですよ」
それが僕の――――《番外真祖》の戦い方です、と、魔城は言う。
「昔はもっとたくさんいたんですよ。こういう眷獣を使う吸血鬼が……もう、僕しかいなくなってしまった」
そう言って魔城は、すこし悲しそうに目を伏せた。
「ですが、この眷獣たちが僕に与えてくれたのは、一人さびしい状態だけではありません。この眷獣たちがいたからこそ、何とかここまで生きてくることもできたのですし、こうやって、あなたを出し抜くこともできました」
打って変わって、にっこり、と魔城は笑う。その両目が、真紅に輝く。
「《魔剣の焔巨人》さん、とどめをお願いしますね」
魔城の声に呼応して、焔を纏った、魔剣の巨人が號と吠える。そしてその魔剣を、全力で振り払った。
「馬鹿な―――――」
ジャックは、迫るその刃を、最後まで信じられずに見つめていた。ありえない。ありえないことが続いている。順調に進んでいたはずの作戦は失敗し、さらには見たことも聞いたことも無い、『眷獣を使う眷獣』などという能力をもった、《番外真祖》を名乗る人物。
そうだ。すべてがあり得ないならば、もしかしたらここで死ぬという事もあり得ないのではないだろうか。そうだ、これはきっと夢だ。
ならば、目を覚ますまで、眼を閉じていればいい。
「エミリア……」
ジャックは、最愛の妹の名前をつぶやき、眼を閉じる。
その肉体が、焼
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