日没に絡むイト
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く掴んで、胸の前でコクコクと小さく頷く。
大丈夫大丈夫と言い聞かせながら、震えつづける夕が落ち着くまで頭を撫で続けた。
しばらく後、グイと顔を拭った夕は大きく深呼吸をして顔を上げた。
「でもまだ分からない。お母さんを助けられる人物は旅をしているらしい。華佗という人を捕まえるまでは安心出来ないし、時間も限られている。その為に……覇王を縛り付ける」
「そっか。ならさ、ちゃちゃっと終わらせて次の段階に進んじゃおっか。動きは?」
「ん、郭図には一つの機会をあげた。あのクズが秋兄を捕まえられたら幽州での戦の失態は無し。上層部は南皮にいる間に言いくるめといたからこれで挽回出来なければ郭図の評価は下がる一方。私の策を授けたから、負けたとしてもそれのせいにして逃げられるようにもしてあげた」
普段通りの無感情な声で、既に次の手を打ってあると話す彼女に安堵の息が漏れ出る。
ここから進むべき展開は予定通り。
劉備軍から大徳の片割れを奪う事。あたしのように圧倒的な武力を誇り、民や兵の希望の標になり得る黒麒麟を袁家に置く。
最低線でも曹操を倒すまでは手を組むことが出来るだろう。秋兄にそのくらいの判断が出来る事はあたしも夕も見抜いている。
侵攻の時機を早めたから孫策は曹操にぶつけるつもりであり、秋兄にはその時、交換条件の手柄を立てさせる事を考えてもいい。七乃と紀霊が油断してなければ容易い事だ。元々紀霊にはじゃじゃ馬姫を最悪の場合殺せと言ってあるし、相応の兵数も城に置かせている。
曹操軍との戦いで疲弊した孫策軍を潰すのはあたしと猪々子の役目。秋兄が事前に孫呉の精兵を減らしておいてくれたのは非常に助かる。
もし、あたし達に気を取られるようなら夕の裏策によって曹操は大打撃を受ける事にもなるから全てに於いて問題は無い。
「じゃあこれから本城に向かうのは……?」
「軍備品等の物資の奪取と秋兄の移動経路制限。公孫賛は本隊に向かったと報告があった。ならいるのは秋兄だけ。でも伝令は殺したと報告があったし合流が遅れるのは確実。一番最高の状況は城にいてくれる事だけど……多分あの人なら返しの伝令が着いて直ぐに城を捨てる。
軍を分けて合流の為の最短経路を抑え込む事はばらけて先行させた五つの部隊に行わせている。これで秋兄が逃げる道は一つ、後に二つ。分岐点には二万の兵を持った郭図を大きく回り込ませて向かわせた。そこで行われる策は……今までに無いモノだから大丈夫。文醜は突撃しすぎるから私達との中間地点で待機。部隊は幽州で手に入れた騎馬に乗せてるから追撃も容易」
次々に並べ立てられる展開の数々、夕の予測能力に思わず舌を巻いた。これだけ頑強に抑えられていたら普通のモノなら、いや、秋兄であっても逃走は不可能だろう。やはり、この子がいれば敵はいな
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