第五話
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
妹紅と別れてから数時間後、昼食を終えた俊司は当初の予定通り紅魔館と守矢神社へ向かおうとしていた。当初は一人で行く予定だったのだが、妖夢は当然のようについて行くと言っており、まあ一人で行くのも危険かと考えた俊司は二人で向かうことにした。
最初に向かうのは霧の湖にある紅魔館だ。話によれば紫達が紅魔館を奪還した後、館主のレミリアを含めた数名が紅魔館へと戻ったらしい。紅魔館は霧の湖の中央にあるため徒歩で直接向かうことはできない。そのため紫に近くまでスキマで運んでもらい、島に上陸することにした。
道中妖夢に俊司が死んだことを伝えたら彼女達はどんな反応をしていたか聞いてみると、咲夜を始め多くの物はその場で泣き崩れたらしい。紅魔館組で涙を見せなかったのはレミリアとパチュリーの二人だけだったらしいが、夜中に見張りをしていた妖夢曰く部屋の中でパチュリーの胸にうずくまって静かに泣くレミリアを目撃したという。従者のそばでは泣かないのはレミリアらしい。
その話を聞いた俊司はまた落ち込んだようだ。妖夢はそんな彼にフォローを入れながら、静かに紅魔館への道を歩む続けた。
「見えてきましたよ。俊司さん」
二人の目の前には赤を基調とした煉瓦造りの建物が姿を現していた。湖にで孤立したこの島に立つこの建物は、赤色と言うこともあって非常に目立っている。
入り口の前にある門は、言わずもながら外の世界の洋館のように洋風なデザインとなっている。そしてその門の前では、いつものように朱色の髪でロングヘアーの門番が居眠りをしながら器用に立っていた。
彼女は紅魔館の門番であり武術の達人でもある『紅 美鈴』。起きている彼女に接近戦を挑めば、素人ではまったく歯がたたないくらいの実力を持っている。眠っているところ以外をとれば非常に優秀なのだが。
「美鈴さんはいつも通りですね」
「そうですね……ってなにしてるんですか」
俊司はなぜか持ってきていたフード付きコートをまとい、フードで素顔を隠してしまった。
「いやあ……やっぱりいきなり出て行く勇気がなくって」
「……まあわからないこともないですが」
と言ったもののやはり呆れていたのか、妖夢は重い溜息を漏らしていた。
少ししてから静かに門へと近寄っていく二人。依然と居眠りを続けていた美鈴は二人が目の前に立っても起きようとはしない。正直なところ門番であって門番でないようなものだ。
「さてこのまま入りますか?」
「んーでも挨拶しておきたいし……よし」
俊司は大きく深呼吸をすると、突然目つきをかえて眠り続ける美鈴を睨めつける。さらには背後から異様な雰囲気を醸し出し、まるで威嚇しているような姿勢をとる。すると殺気のような物を感じ取ったのか、眠り続けていた美鈴はさすがに目を覚まし戦闘態勢を取った。
「何者ですか! ……ってあれ?
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ