第五話
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司はまるで忘れてたかのようにそう返事をすると、静かにフードを下ろして素顔をさらす。すると目の前の二人は予想通りの反応をとってくれた。
「……え?」
目を丸くした目線はなぜと言わんばかりの反応だ。永遠亭で妖夢や鈴仙・妹紅も同じような反応をしていた。俊司はその先が来る前に笑みを浮かべ、無言の「ごめん」を伝えた。
しばらく何も言わずにキョトンとしていた二人は、その言葉を感じ取った瞬間我を取り戻して軽く息を吐いていた。
「生きていた……の?」
「いや、正確には死んだままの状態だよ。亡霊として今は生きてる」
「亡霊ですか……いやあ……びっくりしましたよ!! ねえさくやさ――」
そう言いかけた美鈴に、咲夜はまたナイフを突き刺す。またしても激痛を与えられた美鈴は、今度は無言でその場を転げ回った。
「咲夜さん、美鈴さんが可哀そうです」
「そんなことないわ。妖怪だもの。すぐに治るわ」
そんな事を言いながら咲夜は笑っていた。
「さて、案内するわ。お嬢様もきっとお待ちです」
「ああ、そうさせてもらうよ」
その後三人はたわいない話をしながら紅魔館へと入っていった。
「ところでレミィ、その運命って本当なの?」
「ええ。私が運命を見誤るなんてありえないわ」
紅魔館のエントランスは外部と似て赤く染め上げられている。二階へ続く階段の先には、エントランスを見下ろせるようになった廊下が設置されていた。花や絵画でおしゃれな内装になっている。
その廊下の場所ではコウモリの羽のような物をつけた少女と、まるでパジャマのような格好をした少女が話をしていた。
「だとしたら奇妙な話ね。彼の人生とは……ここに締め付けられているみたいで」
「どうかしらね? 数年前……幻想郷で起こった異変……あの異変からのつながりだとすれば、彼がここに来たのは運命。逃れることはできない」
「……レミィ、あなたなら分かるんじゃないの?」
そう問いかけると、目の前の少女は静かに「どうかしらね」と呟いた。
「さて、そろそろ来るわよ」
目の前の少女がそう言うと、玄関の大きなドアがきしむ音を出しながら開き始める。そこから姿を現したのは、自慢のメイド長と例の人物の恋人。そしてさっきまで話していた少年の話だった。
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