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ねぇ、貴方」
「んあ?」
聞き覚えのない声に呼ばれたアルカは面倒そうに振り返った。
アルカの正面に立つ女性は、はっきりとした口調で尋ねた。
「ティアはどこにいるかしら?」
その問いに、アルカは髪を掻き毟ってギルドの隅から隅までに目を向けた。
が、ギルドにティアはいない。
序でに言えばクロスの姿もない。
「あー・・・悪ィ、ティアは今いねぇんだ」
「そう・・・なら少し待たせてもらうわ」
そう言うと、女性はバーカウンターの1番奥の席に座った。
アルカはちらりと女性に目を向け、酒を一口飲む。
(あの女・・・ティアの親族か)
何故ここまで断言できるか。
理由は当然ある。
髪の色が宝石のように眩い群青色である事、瞳も同様に群青色である事が大きな理由だ。
前にクロスから聞いたのだが、「似た色の髪はあっても群青色はカトレーンの一族だけだ」らしい。
序でに言えば、冷たくてどこか上品さを醸し出す口調はティアに似ている。
(ま、ティアとは違うけどな)
氷が溶け切った酒をもう一口。
若干ぬるいがあまり気にせずアルカは一気に飲み干した。
それと同時に明るい声が響く。
「アルカ〜!」
「おー、ルー」
満面の笑みで駆けてくるルーにヒラヒラと手を振る。
家を出たのはほぼ同時だが、ルーは真っ直ぐギルドに向かわず寄り道していたのだ。
どこに寄り道してたんだろうな、と考えながら、アルカは空のグラスを置いた。
駆けてきたルーは先ほどアルカに声を掛けた女性に目を向け、首を傾げながらアルカに訊ねる。
「あれ、誰?」
「流石に素直に聞き過ぎだぞルー・・・ま、いいや。誰なのかは解らねぇが、ティアの親族じゃねーの?」
「そっかー、髪の色とか同じだもんね」
うんうんと納得したルーはきょろきょろと辺りを見回す。
何探してるんだ?と尋ねる必要はない。
アルカはくいっとギルドの一方を指さす。
「ルーシィならそっちだぞ」
「あ、ホントだ。ルーシィ!おはよぉっ!」
「うわっ!いきなり飛びついて来ないでよ!びっくりするじゃない!」
「えへへ、ゴメンね〜」
アルカに向けたものとはまた違う満面の笑みを浮かべるルーはルーシィの隣に座る。
仲睦まじいその光景をアルカは見つめ、ギルドの入り口に目を向けた。
(にしてもティア・・・アイツどこ行ったんだ?仕事じゃねーだろうし・・・)
「・・・ふぅ」
目を閉じていたティアはゆっくりと目を開いた。
今ティアは墓地にいる。
その目の前には、―Iоri Susewind―の文字が刻まれた墓石。
「満足してくれますか・
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