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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
三十八話 罪と罰と…
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 栞から風見幽香が目を覚ました、と連絡を受けて僕は諏訪子と神奈子を連れ立ち彼女の寝室になっている部屋に赴くと、幽香は布団を片付け畳の上に正座をして待っていた。服装は替えが無い為水色の寝巻き姿のままだ。
 幽香の両脇にはさとりとこいしが腰を下ろしておりそれと向かい合うように僕も畳に正座をし右に神奈子、左に諏訪子が腰を下ろす。そして幽香にこれまでの経緯を説明する事から始めた。


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「――――と言う訳だよ、此処までは理解出来たね?じゃぁ君の処分を決めようか」

「ちょっと待ってください!」
「何でお兄ちゃん!幽香お姉ちゃんは利用されただけだよ!」

 僕の処分という言葉にさとりとこいしが激しく反応する。まぁ気持ちは分からないでも無いけどね。

「そうだねこいしの言う通り幽香は利用されただけだね。けどそこは関係ないんだよ、だって“幽香がこの郷を破壊”した事は紛れも無い事実なんだから」

「けどそれは!」

 僕の言い分にさとりが反論しようとするのを遮る様に、

「幽香の事情を話せば理解してくれる住人達もいるだろうね。けど家を無くした人や怪我を負った人はそれで納得するのかな?……軽傷六十四名、重傷三十一名、重体七名の内一人は今も意識が戻っていない。もし死者が一人でも出れば僕達は躊躇無く幽香の首を落とす。いいかい二人共、僕が君達とした幽香を助ける約束は僕個人の事であってこの郷の祭神として郷を破壊した幽香に処分を下すのは当たり前の事なんだよ。悪いけど君達が何と言おうとこれは変わらない」

 初めて見る僕の雰囲気にさとりとこいしは萎縮し押し黙る。二人には悪いけどこんな時にまで軽く構えられるほど僕の肩書きは軽くないのだ。僕は懐から二つに割れた腕輪を取り出すと一つを幽香に投げ渡し、もう一つを神奈子に手渡した。

「…これは…確かあの鬼に付けられた…」

 幽香を割れた腕輪を忌々しげに睨みながら握りつぶした。神奈子の方は腕輪を繁々と眺めた後諏訪子に投げ渡し僕に質問してくる。

「で?結局これは何なんだい虚空、この女が起きたら説明するって言ってたよね?」

「これはね『令授(れいじゅ)(かん)』って呼んでたね創った張本人は。効力は一定の命令を遵守(じゅんしゅ)させる事。幽香、これを付けられる時に何て言われたか覚えているかい?」

 幽香は少し思い出す様な仕草をした後、

「…確か『七枷の郷を壊せ、お前の妹達を攫った七枷虚空を殺せ』だったわね」

「…ん?虚空の言い方だと相手を操る道具には聞こえないんだけど?」

 腕輪を弄んでいた諏訪子がそんな事を言って来たので僕は説明を続
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