第一章 ねがうゆめ と かなうゆめ
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さ。」
レイアは剣を机の上に置いた。
確かにこの造りと銘はエレクの父親のものだった。
レイアは続けた。
「で、今回新しい剣を買うか、この剣を打ち直してもらおうとこの街にきたらおやじさんがいなかったから、ついでに村まで足を伸ばそうと思ったわけさ。」
ここで、レイアはコップに注がれた酒を2,3口飲んだ。
「村に着いたときには・・・エレクのしった通りさ。何とかしようとは思ったんだけど・・・」
そこまで話すと、レイアは申し訳なさそうに肩をおとした。
「そんな、僕もあの時は感情的になってレイアさんには酷い事をいってしまって。」
エレクも頭を下げてあやまった。
「それはもう気にしなくていいよ。それと、私の事は呼び捨てにしてもらってかまわない。話しづらいだろうし、こっちはとっくに呼び捨てだしね。」
ここまで話したところで、レイアは残った酒を飲み干した。
エレクも一口飲んだところでひとつ気になったことをきいた。
「レイアは・・・いくつなの。」
言い終わったところでレイアが
「それをレディに向かって聞くのかい」
と、いいながらこれみよがしに拳を作って見せたので、エレクはブンブンと首をふって
「なんでもないです」
というのが精一杯だった。
それからしばらくして、食事を終えた二人はレイアが泊まっているという宿へ向かった。
宿に向かう途中、エレクは
「レイアは明日からどうするの」
と聞くと
「私は、具体的にはきまってないが、準備が出来次第この街を出ていくよ。とある奴に返さないといけない借りがあるしね。」
そういいながら、険しい顔を見せると腰に携えている剣の柄を握り締めた。
「そういうエレクはどうするんだい。」
エレクは聞かれたとき正直とまどってしまった。具体的には何も決めていなかったのだ。
少し考えて、
「できれば・・・、レイアに着いて行くというのはだめかな。僕もこの借りは返したいんだ。」
そう話すと、
レイアは真剣な眼差しでエレクを真っ直ぐ見据え、
「言うほど簡単なことじゃないんだ。命を落とすことだってありえる。それにエレクには父親から受け継いだ鍛冶屋としての才能もある。
それを投げ出してもいいという覚悟はあるのかい。」
エレクは真っ直ぐにレイアをみると、力強く
「はい」
とだけこたえた。
「そう。でも条件がある。まずはその大荷物を売ってお金に換えること。そんなに荷物を持っていたら簡単に移動もできないし、旅にはお金が必要だ。」
とレイアが笑顔でいったので、
それを聞いてエレクは黙ってうなずいた。
「それと、もうひとつ・・・昨日見せてもらった剣を譲ってくれ。」
その言葉を聞いてエレクは驚いて、言った。
「この剣は僕が始めて打ったやつで・・・」
その言葉をさえぎる
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