第一章 ねがうゆめ と かなうゆめ
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ので、反応に困っていると、
「まぁ、折角助かった命だ。せいぜい長生きしな。」
とその女剣士はクルリと背を向け歩き出した。
「なん・・・っと・・・早・・・くれなかったんだ」
エレクは唇を震わせながらいった。
「なんかいったかい?」
女剣士はエレクの方に体をむけた。
「何でもっと早く助けてくれなかったんだ!」
主人公は口にしてからしまったと思ったが、感情が昂ぶってもう止めることができなかった。
「あんたみたいに強い人ならこんなに犠牲が出る前に何とかできたはずだろ!そうすれば父さんや母さんだって助かったはずだったんだ!」
女剣士は大きくため息をつくと
「酷い言い様だね。確かに私がもう少し早くここに着いていればその可能性もあったかもしれないが、そこまで言われる筋合いはないよ。」
といいながら再び背をむけた。そして、
「あぁ、そうそう。今の状況に同情はするけど、私はあんたみたいに自分の不幸を他人のせいにするやつが大嫌いなんだよ。」
と言い残すと歩き去ってしまった。
「父さん・・・母さん・・・」
エレクはそう呟くとそのまま倒れこんでしまった。
どのくらい眠っていたんだろうか。
目が覚めるとあたりはうっすらと明るくなっていた。
エレクは体を起こし、生き残りがいないかどうか村の中を歩き始めた。
村の広場に来ると、昨日まではなかったお墓が何基もたっていた。
「これは・・・」
エレクが立ち尽くしていると
「ああ、やっと起きたのか。」
と聞き覚えのある声がした。声のするほうを見ると、昨日戦っていた女剣士だった。
「今やっと終わったところだよ。あのままにしておくわけにもいかないだろう。それに無防備な奴を放って行くほど冷たい人間じゃないしね。」
と、一方的に話した。
エレクは昨日の事を思い出すと、
「ありがとう。それと、ごめんなさい」
と深々と頭を下げながら言った。
「まあ、いいさ。昨日はあんなことがあったんだ。頭に血が上ってもおかしくないさ。それに私も少し言い過ぎたしね。お互い様だよ。」
と、体の埃をおとしながらいった。
「あんたはこれからどうするんだい?村がこの状態じゃここにそのまま暮らすってわけにも行かないだろう」
エレクは間を置いて、
「まだあまり考えられないけど、とりあえず街に行ってみようと思っています。」
と答えた。
「じゃあ、私も一緒に行こう。」
と、女剣士はマントを羽織ながら準備をした。
エレクはあわてて
「ちょっと待ってください。準備をしてきます」
と言い残して家の方に走り出した。
エレクは自分の家まで戻ると、置きっぱなしにしていた荷物を拾い上げると小さな声で
「それじゃあ、いってきます」
といっ
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