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ゆうしゃのしかく 主の資格
第一章 ねがうゆめ と かなうゆめ
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のヤツを見せてくれ」
といった。
エレクが肩を落としていると、
「だめなのかい?」
と聞かれ、ハッっと我に返って
「そんなことはないです。どうぞご覧ください」
剣を差し出した。
男は目を細めて満足げな表情を見せると
「この店はやはり良い物を置いてあるな。ではこれを一振り頂こう」
と、剣を買いゆっくりと去っていった。
エレクは
「そんなにすぐに売れるわけないか・・・」
と呟くと、気を取り直して客を再び呼び込み始めた。
それから数時間がたち、陽もすっかり傾いてまわりの商店が店を片付け始めた。
結局一日かけて、数本売れはしたがエレクの打った剣は売れずじまいだった。
「昼に来た人は買ってくれそうだったんだけどなあ」
と空を見上げたとき、今日の成果を笑う父親の顔が浮かんだので、エレクは悔しい顔をしながらさっさと店を片付けた。
帰り道は、荷物が減って軽くなっているはずなのに、朝よりも足が重い感じがした。
あと少しで村が見える所まできたころ、陽はすっかり落ちて辺りは真っ暗になっていた。
「今日は遅くなってしまったな。早く帰って母さんの手料理を食べよう」
と、今日の食事を思い浮かべながら早足で歩き始めた。
しばらく歩くと、エレクは違和感を感じた。
普段この時間であれば、この位置からだと村は目を凝らしても見えづらいはずなのに、今日はやけに明るい。
エレクは嫌な予感がして、走り始めた。
だんだん村に近づくにつれて、その明かりが火だということがはっきりわかると重い荷物を背負っている事も忘れて全力で家に向かって走っていった。
村に入ると、目の端に見知っている人が倒れていたり、見たことの無い獣がよこたわっていたのが映ったが、足をとめずに家の前まで走った。
エレクの家は既に火に包まれていた。
「父さんっ!母さんっ!」
と叫ぶと同時に家は大きな音とともに潰れてしまった。
エレクがしばらく呆然としていると、どこからか金属音が聞こえてきた。
考えのまとまらない頭で反射的にそちらの方向に顔を向けると、2つの影が激しく動いていた。どうやら、人が『獣』と戦っているようだ。エレクは何が起きているのかわからない恐怖よりも生き残っている人がいるという事実に突き動かされ自然とそちらにかけだしていった。
少しはなれたところで恐怖心が湧き上がり、足が止まってしまった。次の瞬間2つの影が交差し、大きな咆哮と共に獣が倒れた。
おそるおそるエレクが近寄っていくと肩で息をしながらむこうから声をかけてきた。
「あんたは生き残ったんだね・・・おや?あんたは・・・」
話しかけてきたのはもはや返り血で元の色が判らなくなっている鎧を身にまとった女剣士だった。しかし、エレクには女剣士の知り合いもいなく、村人の知り合いでもなさそうだった
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