暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
12.仮面の真実
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なよ。一秒でも遅れたら、おまえと藍羽が美術室で生着替えしている写真をクラス全員の携帯に送りつけるぞ」

「な、なんのことだか……」

 ふふん、と不敵な笑みを浮かべる那月。彩斗は彼女のことが苦手だ。底の知れない感じが少し苦手なのだ。

「いいか、暁古城。貴様も今夜来るのだぞ」

 那月はそう言い残し、夕焼け燃える空を背に去って行く。

「……勘弁してくれ」




 テティスモールは、商業地区である絃神島西地区(アイランド・ウエスト)のほぼ中枢。繁華街の象徴にもなっているショッピングモール。
 週末の夜、駅前の人口密度は殺人的ですらある。そんな中、待ち合わせ時刻から二時間ほど過ぎた、午後十一時近くに那月は約束の場所に現れた。

「──遅ェよ! ていうか、なんだよ、その格好!? 攻魔官の仕事じゃなかったのかよ!?」

 華やかな浴衣姿で歩いてきた那月を古城は睨む。

「騒ぐな、小僧。この近くの商店街で祭りをやっているのを見かけてな。アスタルテに夜店を堪能させてやろうと思ったのだ」

「それならそれで連絡しろよ!」

「まぁ、そう怒るなって、古城」

 騒ぐ古城に落ち着かせるような口調で彩斗は話しかける。那月の後ろでは、同じく浴衣姿の人工生命体(ホムンクルス)のアスタルテの表情はどこか嬉しそうだ。

「それでどうしておまえがここにいるんだ、転校生」

「わたしは第四真祖の監視役ですから」

 ギターケースを背負って立っていたのは制服姿の雪菜が、いつものように監視役であることを告げる。

「それよりも、どうしてこんな物騒な任務に、暁先輩みたいな危険な人物を連れ出したりしたんですか。こんな街中で先輩の眷獣が暴走したら、いったいどんな大惨事になるか……」

「だからといって、こいつがなにも知らないまま戦闘に巻き込まれたらどうする気だ、剣巫。そっちのほうが危険だと思わんか?」

「そ……それはそうかもしれませんけど……」

「危険物だからこそ目の届かない場所に遠ざけるよりも、手元に置いていたほうが安全だろう」

「うー……」

 雪菜は那月に軽く論破される。二人に危険物扱いされて落ち込む古城に対して、彩斗はどこか違和感を感じていた。
 彩斗たちはエレベーターへと乗り込んだ。

「メールで送った資料は読んだか?」

「まあ、いちおう。“仮面憑き”だっけ? そいつを捕まえればいいんだろ」

「正確には、“仮面憑き”を二体とも、だ。って聞いているのか、緒河?」

 那月の声に違和感から一度感覚を戻す。

「あ……ああ、いちおうは聞いてる」

「まさかなにか感じるのか?」

「ああ、少しだけどどこかで戦闘してる悪意みたいな気配をな」

 
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