僅かな平穏・後編〜
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「わぁ・・・」
直葉が鍛錬の様子を見て唖然とする。その時、兵士の一人がこちらに気付いた。
「あ・・・御遣い様!」
「え・・・!?」
それに気づいて兵士が駆け寄ってくる。
「お帰りになられたんですね!ご無事で何よりです!」
「ああ、つい先日帰って来たんだ。すまないな、顔を出すべきだった」
「いえ、そんな・・・」
「亮お兄ちゃんって本当に偉いんだ・・・」
俺より強面の人が敬語を使うせいか、直葉は少し引き気味だ。
「だって亮はこの国の英雄みたいなもんだもん」
「孫尚香様までいらっしゃってくれたのですか?おや、こちらの方は・・・」
「ああ、直葉って言って俺の妹だ」
「御遣い様の!?すみません、失礼しました!」
直葉に近づいていた兵士が一歩下がって頭を下げる。直葉はそんな兵士を見てあたふたしていて・・・
「直葉、学校の後輩に接する感じでいいんだよ」
「そ、そんなこと言われても・・・」
慣れろ慣れろ。俺も最初は敬語が抜けなかったから。
「よし、じゃあ誰かコイツと試合してくれないか?」
「亮お兄ちゃん!?」
「気晴らし+親睦会だよ。本当なら外史の全員とやらせたいけど・・・今は直葉しかいないからな。というわけで、ほら」
俺は刃先を潰した模擬剣を直葉に投げ渡す。
「わっ、たったっ・・・」
「では、僭越ながら私がお相手致します」
そこそこ経験を積んでいる兵士が同じように模擬剣を持ち、礼をしてから構える。
「お、お願いします!」
直葉も慌てて頭を下げてから構える。
「よし・・・じゃあ決着は一撃決まるか、もしくは寸止めによる降参で決めよう。双方尋常に・・・始め!」
俺がそう言って手を上げてから下ろすと兵士が走り出す。
「ふん!」
まずは様子見の一撃。直葉は息を吐き・・・
ビュン!
二歩、下がってかわした。直葉が持っているのは見た目的には西洋型の両刃剣が一番近い。普段刀を愛用してる身としては感覚が違うだろう。だからこそ、直葉は初手を剣で受けなかった。恐らく直葉は極力弾くのではなく避ける方向で戦うだろう。
「せやぁぁ!」
三発目を避けたところで直葉が攻めに転じる。だが直葉は一瞬顔をしかめた。
ガキィン!
「う・・・!」
振った時の重心、当たった時の衝撃。それらの感覚の違いが直葉の動きを鈍らせ・・・再び防戦一方となる。
「直葉、押されてるね」
「ああ。でも直葉がきっと勝つ・・・ってあー、やっぱシスコンとブラコンの気でもあるんかな」
「しす・・・?」
「兄妹が好きってこと」
「じゃあシャオも同じだね♪」
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