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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
序章 シャングリ・ラの少年
七月十六日:『青天の霹靂』
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で逮捕しますわ」
「じ、風紀委員……クソッ!」

 それは、学園都市の自衛組織『警備員(アンチスキル)』の下部組織……学生で構成された、『風紀委員(ジャッジメント)』の徽章。
 それを見た発火能力者は、二対一では勝ち目がないと判断したらしく、慌てて嚆矢の腕を振り払うと一目散に逃げ出した。

「待ちなさいな!」

 と、少女が逃亡した方に叫んだ――その時、逆方向からの声。

「テメェ、離せよっ!」
「ダメぇっ……きゃあ?!」
「――野郎!」

 それに振り向けば、目に映ったのは痩躯の強盗犯に人質にされそうになった子供を取り返そうと引っ張り合い、辛うじて庇い込むも、男に顔を蹴られて倒れ込む柵川中のロングの娘の姿だった。

「佐天さん!」
「ぐぁっ……う、動けねぇ……何だこれ、針?!」

 その様子を見た、柵川中の花飾りの少女が叫ぶ。と同時に、背後でくぐもった声が響いた。
 十中八九、発火能力者が取り押さえられた声だろう。

「――――女に手ェ上げるだけでも男の風上にも置けねェってのによォ……足蹴にするたァ、よっぽど()()()()らしいなァ!」

 舌打ち、落ちていた拳銃を拾う。車に乗り込もうとしている痩躯の強盗、その足を狙い――――

「――――黒子っ!」

 刹那、走った声。それはさながら、雷鳴の如くその場に存在する者全ての目線を集めた。無論、嚆矢の目線も。
 その所為で、最後の射撃機会を逸した。だが――

「こっから先は、あたし個人の喧嘩だから……手、出させてもらうわよ」
「えっ、ちょ……お姉様?」

 丁度、嚆矢と強盗犯の乗った車の中点に現れたセミロングの常磐台娘。自殺行為も甚だしい。
 後方のツインテールからも、戸惑った雰囲気が振り返らずともありありと感じられた。

「あれ……?」

 その姿に、既視感(デジャ・ヴュ)を覚える。あんな娘を、去年辺り見たような、と。
 その回答は思わぬところから。

「思い出した……風紀委員には捕まったが最後、見も心もズタズタにする空間移動能力者(テレポーター)と……その空間移動能力者を虜にする最強の電撃使い(エレクトロマスター)がいるって噂……!」

 振り返れば、路面に革ジャンごと縫い付けられた発火能力者と、その隣で悠然と――――心配の欠片すらなく、急発進した車の前に立ちはだかったセミロングを見遣るツインテール。

「……ええ、そうですわ。あのお方こそが、学園都市二百三十万人の頂点に君臨する、超能力者(レベル5)の一人――」

 車が、迫る。アクセル全開で。その圧迫の前で――――セミロングの少女は、右腕を差し出した。
 そんな細腕で、一体何ができると言うのか。恐らく、車を操る強盗犯もそ
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