§54 僕は君にこう言おう。鬼の如く、壊せ
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「マスターまさか……」
「そのまさかだよ。回収手伝って貰える? 流石にこれだけあるとめんどくさい」
二百までは数えたんだけどさぁ、などと嘯く黎斗には呆れるしかない。
「一体何かと思えば……」
投げやりに、試作四号を投げ捨てるエルの目が虚ろだ。
「これどうする気なのさ。なんか新兵器作るの?」
「うんにゃ。よーかの左腕に」
「「はぁ!!?」」
この人は何を言い出すのだろうか。鬼の腕を隻腕となった陸鷹化に接合する気なのか。
「とりあえず翠蓮にはよーか君貸してもらえるようにお願いしといたから」
「本人の意思無視ですか……」
死んだ目でエルが呟く。彼女もこの展開は予想していなかったのだろう。
「義手は必要でしょ 機械での義手だとドニの権能で封殺されるからさ」
「何と戦うことを想定しているんですか……サルバト−レ卿と対峙した時点で鬼の手だろうがなんだろうが勝てませんよ」
「まぁ、そうなんだけどさ」
あっさりとエルの意見を認める黎斗。それにイヤな予感がする。
「でも鬼の手って恰好良くない?」
「れーとさん……」
「大体ただの手だとつまらな……げふんげふん。頼りないからちょっとばかし改良しようかと」
「待って、れーとさん。今つまらないって」
「さー帰ろう!」
強引に話題を断ち切って歩きはじめる黎斗。逃げられた。
「……まぁなんでもいいけどさぁ」
半ば呆れを含ませながらも、恵那とエルは黎斗の後を追う。左腕の回収を忘れていることに、まだ誰も気づかない。
●●●
「お前阿呆だろ」
「いやいや何を仰いますかスサノオせんせい」
須佐之男命にボロクソに言われた。なんでだ。黎斗は必死に考える。
「なんで本来の力を解放するのに一々呪文がいるんだよ」
「なぜなら――――その方がカッコいいから!!」
「もう黙れよお前」
辛辣なツッコミにも黎斗はめげない。
「まぁそれは半分冗談だけど。前提としてさ。いくらよーかが強くても所詮人間だし。神獣クラスの力を持つ腕を扱う、ってのはしんどいと思うのよね」
人間の脆弱さを知るが故の発想。多分、神にこういう発想はないのだろう。
「……ふむ。一理あるな」
「だから通常時の出力を落とす。必要時のみ力を解放させることで肉体にかかる不可を減らす。あ、僕医療魔術とか詳しくないからあんまツッコまれてもわからんからね」
陸鷹化の腕の太さは確認済みだ。持ち帰った腕を全て調べて、丁度良い太さの腕を見つけ出した。これを素体として、作り上げたのは義手。その名も「鬼の腕」
「賢者の石を動力源とする、か……」
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