番外8話『気づけば』
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いた彼らだが、残念なことに二人はこの島に来たばかりで土地勘などない。難しい顔で地図とにらめっこしてしまうのは当然として、どこを見回しても雪だらけで、なおのこと地理が分かりづらい。
現在地と目的地の把握が難しい状況下にあり、大まかなギャスタの位置は地図を見ればわかるとしても、詳細の位置まではわからない。そのため、詳細の場所を示すギャスタの看板を探しながらソリを走らせていた彼らだったが、実は既に彼らはその看板を見落として道を進んでしまっていた。
もちろん道を間違えて進む彼らがギャスタにつくわけもなく――
「……てっぺんがみえねぇ」
「どこで看板を見落としたのかしら」
――きりたった崖に行きあたっていた。
「と、とにかく急いで戻りましょう」
「おう、今度こそギャスタの看板を見落とさないようにしねぇと」
慌てて引き返そうとする二人だったが、すぐさまその動きを止めた。
「――ぁぁ」
「何か聞こえない?」
「あぁ、俺にも聞こえる」
「なにかしら」
「なんだろうな」
二人して首を傾げて周囲を見回すも、特に変化はない。基本的に臆病な性格をしているウソップがなにか得体のしれない音を聞いても平然と周囲を見回してるのはおそらくはその音がどこか二人にとって聞き覚えのあるものだからだろう。
「どっかで聞いたことあるような」
「私も」
顔を見合せて、また首をめぐらすのだが周囲に変化は起こらず、この妙に耳になじむ奇怪な音も乱立する木々や切り立った崖に反響しているせいで音源の位置が特定できない。ただ音の大きさだけは加速度的に増していて、二人のいる位置へと確実に近づいている。
音源が近くなればその位置を耳で判別することもそれだけ容易になるわけで、それゆえに二人は同時に気付いた。
音源は近づいているのではない。
落ちてきているのだと。
「――あああああぁぁぁぁぁ」
「上っ!?」
「つかハントじゃねぇか!」
「な、なんだか体が黒いわよ!?」
「おい、こりゃ俺たちに直撃コースだ! ソリをバックさせるぞ! バック!」
「で、でもハントさんは――」
「あいつが崖から落ちてきただけで死ぬわけねぇだろ! それよりこっちの心配だ!」
ハントが巨人二人を相手にして倒してしまうほどの人物だった、ということを思い出し、ビビもウソップの意見に「そそ、そうね!」と同意した。
二人が慌ててソリを後退させて――
「――おおおおおぉぉぉぉぉぉぅ゛んっ」
つい寸前までソリがあった雪の床へと、ハントがダイブした。
「……」
「……」
「……」
少なくともこの地上から見ててっぺんが見えない位置にあるほどの高さの崖。そこから落下してきたのであろうハントを二人がのぞき込む
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