第百六十八話 酷い話
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太子を呼び捨てである。
テレーゼが話を変える。
「そう言えばDからの連絡は?」
「有りません」
ケスラーの答えにも不快感を表さずににこやかなテレーゼ。
「そう、良い兆候ね、返事がないのは元気な証拠だしね」
「はい、Dからの連絡が有るときは最後の時のみ」
「そう言う事、帝国の切り札ABC兵器に次ぐD兵器がまさかあれとは黒狐も気づかないわね」
「はい、我々の指令は“汝の思うようにせよ”だけですから」
このセリフは、テレーゼが転生前によくやっていたテーブルトークRPGソードワールドの邪神ファラリスの神託なのであるが、気に入っているのでそのまま使っているのである。
「ふふふ、幾ら黒狐や地球教が調べても、スパイに関して判るわけがないよね。黒狐も地球教もよくよく考えてみればいいのよ。帝国暦373年にレオポルド・ラープがフェザーンを成立させようと運動した際に、内政面の名君と言われたコルネリアス一世が一番信頼していた側近のクーデターのせいで細心の注意をするようになっていた事を、そんな時、いきなり自治領を作るなどと言う、ラープからの話を疑念も感じずに、賄賂を貰った廷臣共が勧めたってそう簡単に許可する訳が無いと言う事をね。それにもかかわらず、許可が下りた。恐らく賄賂が効いたと思ったんでしょうけど」
「はい、その際にマクリミリアン・ヨーゼフ陛下以来暗躍していた我等の諸先輩方がコルネリアス一世陛下の命で動きました」
「そうよね、大体フェザーン人の殆どは元々帝国出身者だと言うのに、移民してきた帝国人の何%が草だったのやら、普通ならその辺を考慮するんだろうけどね。その辺が何故抜けているのかしらね、まあそのお陰で多数の草が育った訳よね、大きく育った木々はフェザーンに確り根付き花を咲かせたわ。マリアもDも見事に大輪の花に育ったわ。全く知らぬは地球教ばかりなりってね」
「ですな」
「それに、ダゴン以来、帝国から同盟に亡命した連中の中に草を仕込んでいない訳が無いんだけど、同盟もフェザーンもその辺りを考えなかったのかしらね」
「草となった以上は必要以上に動きませんでしたので、察知されなかった事が要因かと」
「通常のスパイと違い社会に溶け込んでしまうから、敵も調べようがない訳だし、こんな組織を作ってくれた晴眼帝に感謝ね」
「それでも殿下がお使いに成らなければ、宝の持ち腐れとなる所でしたが」
「まあ、お父様は韜晦していたから、使うわけには行かなかったからね」
「御意」
「それと、黒狐はルパードに接触しているのかしら?」
「今のところ、生活が安定しているため、目立った動きをしている様子はありません」
「ふーん、捨てた親なのだから、コッソリ支援でもして居るかと思ったけど」
「未だ自治領主となって4年しか経っておりま
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