第百六十八話 酷い話
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「レムシャイド伯など、単なるメッセンジャーでしか無い」
「裏にいる人が、重要なのかしらね?」
「フン」
「まあ、私には関係無いことだけど、愚痴を聞きながら慰めて上げるわよ」
「フッ」
しかし、何処から漏れた?ドミニクを調べさせたが、怪しい動きなどしてはいない。するとボルテックか?いや、あの小心者に大胆な事が出来るはずが無い。いったい何処から……
宇宙暦794年帝国暦485年7月21日
■銀河帝国帝都オーディン ノイエ・サンスーシ
優雅な昼下がり、ノイエ・サンスーシの日本庭園の茶室ではテレーゼが日本式のお茶を点てながらケスラーと話していた。ケスラーは抹茶の苦みに壁癖しながら受け答えしている。
「レムシャイド伯は良い動きをしてくれたわ」
「些か、気の毒には思いますが」
「まあ、敵を欺くには味方からと言うし、知っていながら迫真の演技が出来るとは思えないし」
「確かに何処からか、漏れるやも知れません」
「でしょ。さて、黒狐はどんな手を打ってくるかしらね」
テレーゼは、ケスラー相手ににこやかに話しかける。
「ルビンスキーに、今のところ、主立った動きはないようです」
「なるほどね、今は総大主教猊下への報告のために資料集めと今後の同盟と帝国との動き辺りを考えている辺りかしらね」
「ニコラス・ボルテックを始め、他の者にも動きはありませんし、今のところは思案中でしょう」
「帝国と同盟を共倒れにし、絶望の中から地球教が救世主と成り、再度地球が宇宙の中心として復権を遂げる」
テレーゼの呟きにケスラーが答える。
「地球教とフェザーンの目標ですな」
「そう、馬鹿としか言いようが無い浅はかな考えよね、帝国と同盟が共倒れになったとしたら、星間国家としての基礎が完全に崩壊するって事じゃ無い、そんな世界なんて、宗教なんかより北斗の拳みたいに暴力だけが支配する世界になるわよ。それに、サイオキシンでラリッタ信者ばかりじゃ、建設的な行動なんか取れないから、各惑星が孤立してそれこそ人類自体が下手すりゃ絶滅するわよ」
北斗の拳が判らないケスラーは頸を捻るが、テレーゼがフォローする。
「13日間戦争と90年紛争の時を描いた小説があったのよ」
「それが、北斗の拳ですか?」
「そそ、暴力が支配する中、拳法で正義を貫いた男の物語なのよね」
「初耳です」
「ええ、ルドルフ大帝の焚書の時に原本は失われてしまって、帝室秘匿ライブラリーに残存していたのを発見したのよね」
テレーゼが口からでまかせを言っているが、ケスラーも其処までは調べられないために信用してしまう。
「なるほど」
「お父様もルードヴィヒもそう言った記録には無関心だったから知らないでしょうけどね」
テレーゼは、謀反人である元皇
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ