暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百六十八話 酷い話
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
情報は何処からですか?」
「財務副委員長がシトレ元帥の知り合いだ」

「ああ、レベロ議員か」
「そうだ、彼が昨日シトレ元帥と面会して、確認している」
「副議長、困りますな、国防関係は私の元を通して頂けないと」
カスター国防委員長が苦言を吐く。

「すまんな、緊急事態だったからな」
「判りましたよ」
アッサリ謝ったバーナードを見て、カスターも仕方が無いかという顔で頷く。

「今の時点で、軍事行動など以ての外だ。此処は拉致被害者送還と捕虜交換を政府で決定し、帝国側と折衝を始めるべきだと思いますが、議長如何でしょうか?」

主体性のないアンダーソン議長はバーナード副議長の言葉に頷いて、決を採る。
「では、帝国と拉致被害者と捕虜の件で折衝する事に賛成の方はご起立願いたい」
誰も座ったままの者がおらず、全会一致で可決された。

僅か1時間後には全てのメディアによって“拉致被害者と捕虜に関する交渉が行われること、本当に政府は知らなかった”と発表され、即刻フェザーンのベルモント高等弁務官の退任が発表された。

市民はその報道に疑念を持つ者、単純に喜ぶ者などが居たが、多くの住民が町へ繰り出し騒いでいた。
そんな中、憂国騎士団も背後の地球教も今回の件は青天の霹靂であるが故に動きが鈍かった。地球教としてもルビンスキーの報告待ちという所であった。




宇宙暦794年帝国暦485年7月21日

■フェザーン自治領 ルビンスキー私邸

ルビンスキーの私邸では帝国にしてやられたルビンスキーが愛人のドミニク・サン・ピエールと酒を飲んでいた。無論快楽のためではなく、二回にわたり虚仮にされた帝国への憤慨のためのやけ酒であった。

カランと氷の溶ける音がするグラスを片手にドミニクがルビンスキーに皮肉を言う。
「貴方でも慌てる事があるのね」
「此が慌てずにいられるか。帝国め、あの様な手を使ってくるとは」
「フェザーンの黒狐も帝国の銀狐にしてやられた訳ね」

ドミニクの皮肉に舌打ちをしながら眉を顰め考える。

帝国の変わり様は此処数年で驚くべき状態だ。やはり皇帝に変化が起こった事が要因だな、グリューネワルト伯爵夫人か、あの女が後宮に入って以来、人が変わったかのようにあの凡庸な皇帝が精力的に政務を始め改革を押し進めている。

やはりグリューネワルト伯爵夫人が最大の要点だ、確か軍人の弟が居たはずだが、姉に比べて余りパッとした噂は聞かないな、精々姉が皇帝に懇願して失態を功績として下駄を履かせていると聞く、先だっても大佐からいきなり少将へ2階級特進しているが、さしたる功績も挙げていない、しかしグリューネワルト伯爵夫人のアキレス腱と成る可能姓も考えて調べてみる必要があるな、その弟を利用して皇帝の動きを探るのも一興か……

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ