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Meet again my…
U ライトグリーン・メモリアル (2)
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、と彼女の空気は如実に語っている。まったく、彼女の「ナル」はどれだけコミュニケーション不全者なんだか。

 奥に神棚と日章旗が据えられた射場から、芝を敷いた矢道、そして的場を臨む。担いでいたケースから自前の弓を取り出す。矢は施設のものを使用する。

「射場には近づかないように」
「しゃば?」
「このライン。射る人間が立つ場所」
「はーい」

 麻衣は殊勝に返事し、座る場所を探して辺りを見回す。上座を示してやると小走りに行って、律儀にも正座した。……持って30分と見た。

 僕は弓を持って射場に立った。

 矢を番える。思い描く。

 イメージは一人の女。袴。御幣(ごへい)。異形の蛇。貼りついた笑み。狂喜。
 女の、のどを、射抜くイメージから。

 Release((離れ))。矢を放つ動作。

 ……こんな夢想をする時点で「弓道」を語る資格はないんだがな。
 弓と他の武道の違いは相手がいない点だ。
 敵は己自身。的は自分を映す鏡。僕の師はそう語った。
 「中てる」気で矢を放ってはいけない。矢は「中たる」ものであり、正しく弓を引くことこそが弓道の本義。――つまり、唯一の標的を想定して鍛練している以上、僕の弓はどうしても邪道の域を出ない。
 あえて正道を外れたのだ。
 あの女を、あの怪物を、射抜くために。




【麻衣side】


 結論から正直に言おう。
 すさまじくかっこよかった。
 買い物を終えてマンションへの帰路についたあたしは、ナルの背中を見ながら彼の射(弓を実際に射ること)を思い出していた。

 外見がイイからじゃない。射た矢は実に70本、その全てが的の真ん中に中ったからでもない。
 美しかったんだ、弓を引く彼が。
 人生18年、まさかこの形容詞を本気で使う日が来ようとは思わなかったよ。付き合ってるほうのナルにさえ使ったことないよ。
 姿勢、動き、しぐさ、どれをとっても完璧で(といってもあたしは弓道素人だからそう感じただけ)。横顔は張りつめていたけど穏やかでもあって、まるで彼の立つ場が別世界のように――崇高。
 惚れ直したじゃないかちくしょー。

「何見てるんだ」

 はぅあ! 何で後ろから見てたのに気づくかなー。背中に目でもついてんじゃないか?

「ナ、ナルはさ、何で弓道なんてやろうと思ったの? やっぱ太極拳みたいに必要に迫られて」

 ナルは押し黙る。いーんだ。答えてくれなくたって。慣れてるもん。ケナゲな麻衣ちゃんは恋人が冷血漢でもめげませんっ。

「――麻衣。存在しないものを殺すためにはどうすればいいと思う?」
「はい?」
「幽霊。妖怪。精霊。神仏。魔物。悪魔。実体を持たないとされる幻想上の存在。これらに対して殺害の手段として思いつく
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