20years ago ”Beginning of the world”
#04
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シンガポールと呼ばれる超商業国家の街並みを想起させる《襟》の露店地区には、噴水や真っ白な橋、何なのかよくわからない白亜の彫像から、アイスクリームやクレープらしきものを販売しているNPCショップまで様々だ。もう少し日にちが経てば、此処にもプレイヤーショップが何か所か立ち並ぶだろう。
リアルワールドではあまり見かけない光景に興奮気味のユウリを連れて歩くこと二十分ほど。ユキハルたちは、やっと《シミュレーションセンター》に到着した。
シミュレーションセンターの建物は、建造物としては《特徴がなさすぎることが特徴》とでもいうべき、のっぺりとした白い建物だ。巨大な直方体のその建物の表面には窓一つなく、唯一内部と外界をつないでいるのは、道路沿いにある自動ドアだけだ。
ドアに近づくと、しゅぃん、という軽快な音と共にそれが左右に開く。ユキハルはユウリを伴って中に入り―――――中にいるプレイヤー達、そしてもしかしたらNPCまでもが、興奮した叫び声を上げるのを聞いて面食らった。
「すげぇ、もうクリアしたぞ!」
「マジかよ、まだ五分しかたってないぞ!?」
「おい見ろよ、もうレベル13だ!どんだけ高速回転なんだよ……」
野次馬たちのセリフをきけば、どうやら誰かがシミュレーションダンジョンを高速クリアしているらしい。タイムアタックめいた高速クリアは、難易度が高い代わりにボーナス経験値もたくさん入るし、何より見栄えがする。
すでに野次馬と言うか、視聴者(?)は20人近くにのぼっているらしい。これだけの初期にこれだけの観客を集めるとは。そんな剛の者は一体何者か、とユキハルは、シミュレーションダンジョン内の光景を映し出しているホロウィンドウ、そこに映ったプレイヤーに見覚えがあることに気が付いた。
「――――ドルガ……」
プレイヤーネーム、ドルガ・エスケティア。モスグリーンを基調としたライトアーマーと、機械兵装めいた大剣を主武装とする精悍な青年を、ユキハルはβ時代から知っていた。彼は、β時代最強と言われたプレイヤー達の一人だ。
『SR004』のレベルには、上限がない。無尽蔵にレベルが上がっていくのだが、例のしょぼい公式サイトの情報によると、500レベルに到達した時点でレベルの上昇がほとんど起こらなくなるらしい。つまり、事実上のレベル上限は500なわけだ。そして、100レベルを超えるごとに、超えていないプレイヤーとは格の違う存在として見られるようになってくる。ちなみに20レベルまではかなりのスピードで経験値がたまるので、一週間もプレイすれば20レベルには到達できるだろう。三日で10レベルは超える。だが、それにしたって正式サービス開始から半日もしないうちに13レベルに到達してしまうとは。
ドルガは100レベ
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