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SR004〜ジ・アドバンス〜
20years ago ”Beginning of the world”
#04
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トロポリスに陽光が当たって、きらりと光り輝くのが見えた。



 ***


 『SR004』には、《大陸》という概念がある。世界中に置かれたフィールド形成サーバーから作られた大陸だ。それは現実世界の大陸とは似ても似つかない形をしている、全くの異世界だ。 

 《玉座(スローン)》は、日本にメインサーバーを置く大陸の中でも最大と言っていい都市だった。そうして、概してそう言った巨大都市の中には、《シミュレーションセンター》という建物がある。

 この世界では、フィールドが危険だ。普通は最初の街の周辺のモンスターは弱いが、この世界では周辺のモンスターからして30レベル程度の実力を持つ。Lv1の現在では、あっさりと殺されて、《玉座》のセーブポイントに戻されてしまうだろう。しかし、外に出られないのであれば、いつまでたってもレベルを上げることもできないし、冒険も出来ない。

 そのために存在するのが、《シミュレーションセンター》だ。対象のレベルに見合ったモンスターと戦闘を行える、いわば《チュートリアルステージ》と言うわけだ。レベル1のプレイヤーは、ここで三日も訓練すれば、大体15レベルくらいにはなる。

 ユキハルはβテスト時代、52レベルまで到達した。《玉座》近辺の、微難関ダンジョンへは入れる程度の実力は身に着けていたが、なかなか厳しい所であったと思う。現在はLv1なので、あそこに辿り着くまでにまた時間がかかるのだ。

 まぁ、今回は時間の限界も無いわけだし、ユウリもいるし――――とりあえずはゆっくり行こう、と決めるユキハル。とにかくは、まずはシミュレーションセンターに行かなくてはならない。

 《玉座》ほどの超巨大都市ならば、シミュレーションセンターは一か所のみならず、何か所か存在する。確か《玉座》にはβ時代、五か所のシミュレーションセンターが設置されていたはずだ。大まかな地形などは変わっていないので、恐らく正式サービス版である現在も同じ場所にあるだろう。記憶にある現在地から一番近い場所にあるセンターを目指して、ユキハルはユウリと共に歩く。

「いよいよ初戦闘だね」
「ああ……っつっても、俺はβ時代に経験があるけどな」
「あ、そっか。じゃぁユキハルはちゃんと私を守ってね」
「へいへい」

 そんな会話をすると、ユウリがユキハルの腕に飛びついてくる。ちらほら見かけるようになった周囲のプレイヤーやNPCから、温かさと冷たさが1:1くらいでまじりあった奇妙な視線を受ける。その視線の意味は、簡単に行ってしまえば…………『末永く爆発しろ』?

 《玉座》のシミュレーションセンターは、二か所が《襟》、三か所が《王冠(キングスクラウン)》にあったはずである。テレビで何度か見たことのある、現実世界(リアルワールド)では
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